「今日はどこに行きたいの?」
ご主人さまと並んで座ってからそう聞かれた。
「この電車、この前降りた駅には停まらないよねぇ?」
「路線が違うから(笑)てか、やっぱりそっちか(笑)」
「だめ?(笑)」
この前降りた駅って言うのは、
「この前降りてホ/テルに行った駅」って意味だってご主人さまにも判ったみたい。
ご主人さまはちょっと呆れたみたいな『ガクッ』みたいな顔をしてる。
「まあ、想定の範囲内だけど(笑)」
「思った通りすぎてガックリした?」
「やっぱり…って、苦笑いのガックリだな(笑)」
ご主人さまは、きっと普通のデートコースも考えてくれてたんだ。
…と、思う。
いつもそう。
でもわんわんがホ/テル行きたがってガクッとさせる。
いつもそう。
「降りるよ」
「ここ?」
「そそ」
ご主人さまが立ち上がったから、わんわんも慌てて立ち上がった。
ホームに降りてから、ご主人さまの腕と体の間に自分の腕を滑り込ませた。
ようするに、腕を組んだ。
手を繋ぐよりスルンと出来るのが不思議。
「あったかーい」
「だろ?」
「うん」
「裏返しに着たい(笑)」
ご主人さまは毛皮のハーフコートを着ていて、
そこに手を突っ込んだら、すごーくあったかかった(笑)
「きっと、いま1番あったかい思いしてるのはわんわんの手だね~(笑)」
「だなあ(笑)」
肌触りのいい毛皮に挟まれた手がぬくぬくしてる。
でもって、じんわりご主人さまの体温も感じる。
すごい贅沢。
すごいあったかい。
「あのねえ」
「ん?」
「○○さんの後ろに回り込んで、両手を両側に突っ込みたい~」
「はは」
言ってから、
(それじゃ後ろから抱き着いてるのと同じかあ)と思って、自分で可笑しくなった。
清算してから改札口を抜けて、またご主人さまの腕に自分の腕を絡めてとことこ歩いた。
やっぱりあったかくて贅沢でしあわせ。