好きじゃなくなったら【8】不器用で臆病 | 夢 出会い 魔性

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ヒゲを剃った後のご主人さまの頬っぺたは、気持ちいいくらいツルンとしてる。


おヒゲがちくちく
剃っててショリショリ
剃り終わったらツルン

1粒で3度おいしい感じ。


「人に剃って貰うと違うなぁ」

「そなの?」

「見ながら剃るからかな」


ご主人さまの手の平が、自分の頬っぺたやアゴを撫ぜてる。

わんわんが感じたみたいに、ご主人さまも『ツルン』を感じてるのかも。


「それもそうだけど、毎日だからじゃない?」

「ん?」

「毎日剃ってると、だいたいになっちゃわない?こんなもんか、みたいな(笑)」

「まあね(笑)」


ご主人さまのおヒゲは、わんわん以外は剃ったことが無いって言ってた。

あ、床屋さんとかは除いてだけどね(笑)

ご主人さまが剃るより、わんわんが剃ったほうが頬っぺたがツルンになるみたい。

ってことは。

ご主人さまのツルンの頬っぺたやアゴを知ってるのは、わんわんだけかも。

剃りたてが1番ツルンだし、わんわん以外は剃らないんだから。


つるつるなご主人さまに体を擦り寄せてキスした。
ちょびっとだけ触れてすぐ離したら、チュッて音がお風呂場に小さく響いた。


「なんだよ(笑)」

「うん(笑)」


なんだよ
うん

会話は成り立ってない(笑)
でもいいの。そのぶん会話はキスでしよう。


触れて、離して、また触れて、さっきより少し長く触れて、また離して。

口唇に触れながら体を預けて、抱きしめて抱きしめ返してもらって、
気付いたらカミソリ握ってなかった。

どこに放り出したんだろ。


口唇の隙間からご主人さまの舌が入って来るのを感じたけど、
なんだか照れ臭くて、舌を絡めることもできない。

裸で抱きしめてる相手の舌が照れ臭いって、なに?(笑)

上手に応えられなくて、ご主人さまの舌が口の中から無くなってしまいそう。

無くなりそうになると、やっと慌てたみたいに私の舌が追ってく。


いかないで
いかないで


言葉だけじゃなくて、舌先まで不器用。
感情を表現するには、あまりにも臆病。




臆病で不器用な舌をねっとり絡めたり、舌先だけを掠めたりさせながら、
隙間から、ハアと息がこぼれ始めるのを感じた。