海水に足を浸すと、思っていたよりずいぶんと温かかった。
「水、ぬるいね」
ザバザバ入りながらご主人さまを振り返る。
ご主人さまは波打際で変な顔をして固まってた。
「どしたの?」
「つめた…」
「冷たい?」
「冷たいよ」
すんごいノロノロと足を進めるご主人さま。
少し進むたびに表情が歪んでく(笑)
「そんなに冷たい?」
「つめてーよ!」
「入っちゃえばいいよ、ザブンて」
「しぬ!」
「ほら(笑)」
肩までザブンと浸かって見せたら、
「自慢か!」ってご主人さま(笑)
わんわんは、わははって笑いながら、もう少し深いほうまでザブザブ歩いてった。
キランと水中で何か光ってる。
「…さかな」
「んー?」
「さかながいる!さかながいるよ、いっぱいいる!」
「へえ」
小さいさかながたくさん泳いでるのが良く見えた。
「さかながいるんだ」
「うん、いっぱいいる。良く見えるよ、ほらほら」
「つめてーんだよ(笑)」
ソロソロと進んでるご主人さまは、中々さかながいるあたりまで来られない。
「水が綺麗なんだな」
「そうなんだね~。人も少ないし綺麗なんだろうねー」
「ああ、ほんとだ、いるな」
綺麗な水の中で泳ぐさかなをご主人さまと見た。
2人で海藻に足を取られながらケタケタ笑って歩いた。
ご主人さまが泳ぎ始めた。
わんわんは「泳がないで」って騒いだ。
わんわん泳げないのだ。
足が届かないとこは怖いから行かないでって騒いだ。
俺は泳げるって、ご主人さまは得意げ。
わんわんは泳げないんだよっ!って不安顔。
行かないで行かないでって、ちょびっと半べそ。
ご主人さまは笑ってる。
笑いながら戻ってきてくれる。
わんわんが怖くない程度の深さのとこで、また海藻を足に絡めながら歩いた。
少し体が冷えてきた。
ちょびっとずつ浅いほうに向かって歩き出す。
「あ」
「ん?」
「さくら貝」
「ほんとだ~」
ご主人さまが指したとこを見たら、綺麗なピンク色のちっちゃい貝殻が落ちてた。
マニキュアを塗った爪みたいだ。
きれい
きれいだ