会いに行く【10】ありがとうすごくきれい | 夢 出会い 魔性

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日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




タワーは上のほうが膨らんだデザインになってて、
下から見上げるとこっちに倒れてきそうに見える。


「倒れてきそうだろ」

「うん」


ちょうど今、そう思ったとこよ(笑)


「上に昇るの?」

「これの上に昇るのは素人(笑)」

「そうなの?」


すたすた歩きだしたご主人さまの手を握って、
ねえねえ、プロはどこに昇るの?って聞いた。

ご主人さまは教えてくれない。
ん~?とか言ってとぼけてる感じ。

高いビルとかホテルみたいな建物の傍を通るたびに
(こーゆーとこの最上階とかかな)って思ったけど、
ご主人さまはどんどんすたすた歩いてゆく。


…あれ?
車のとこに戻って来ちゃった。

ご主人さまが乗り込んだから、わんわんも助手席に乗り込む。
頭の中はハテナマーク。


(ああ、単にタワーに昇っても面白くないってことだったのか…)


プロならここに昇るんだ、って意味じゃ無かったんだなー、って思った。


「けっこう遊んだな」

「うん、遊んだ」

「満足した?」

「した~!通天閣?あ、新世界!道頓堀のとこも中華街もごちゃごちゃで楽しかった。ポートタワー綺麗だったね」

「そりゃ良かった(笑)」


わんわん、大阪とか初めてだったから、
ご主人さまがあちこち連れてってくれて楽しかった。

道頓堀が思ってたより綺麗だった~、とか、
バナナの串揚げは1回でいいや、とか(笑)

いろいろ話しながら、気付いたら車は何だか山道っぽいとこを走ってた。

混んでるとこを避けて、抜け道を通ってるのかなー、って思った。


お腹いっぱい
遊び疲れた
で、ちょい寝不足


駄犬は、またウトウトしてしまいまちたよ(笑)

カクンってして(やだまた!)って思って目を擦った。

ずいぶん霧が出てる。

車は駐車場みたいなとこに入ってった。

「降りるよ」

「うん」

お返事したものの、頭の中は(へ?ここどこ?降りるの?)でイッパイ。

「駄目か。何も見えないなあ」

「?何か見えるの?」

「夜景がね(笑)」


!!!

プロはここに昇るんだったのかっ!
今ごろ気付く駄犬。


「何も見えないね」

「霧が出てるなんて初めてだよ」

「そうなの?いつもは夜景が見えるの?」

「見えるよ。今日は珍しい」

「そおかあ…」

「ま、残念でした」

「うん」


六甲山の上から神戸の夜景は見えなくて、
車はそのまま来た道を戻り始めた。

ある程度下ったら霧が晴れて、隙間隙間から夜景が見えた。


「見えた~!きれいー」

「一瞬だね(笑)」

「でも見えたよ。きれいだった」

「ま、俺は見たことあるからいいけどね」



俺は見たことあるからいい

…お前は見たこと無いから、見せてやりたかった…って聞こえちゃったよ。
ポジティブに解釈しすぎかな。


「わんわんもいま見えた(笑)」


見せてやりたいって思ってくれてありがとう、って思った。

山からの下り道の途中途中で、チラチラ見える夜景がきれいだった。



すごくきれいだった