ベッドの縁に腰掛けてるご主人さま。
立ち上がったままそのご主人さまに身体を寄せて、
胸元にしるしを付けてもらった。うれしい。
「今日は飲みにお出かけ?」
「んー」
「何時くらい?」
「ここを5時くらいかなあ」
夜にはお友達のところに飲みに行くってことは前から聞いてた。
そのかたはちょっと悩み事があるみたいで、
ご主人さまは元気づけに行くってことみたい。
「お泊りになるかも?」
「まさか。明日も予定があるし帰ってくるよ(笑)」
そうだった。
翌日は弟さんに用事があるって言ってた。
「じゃあわんわんタクシーの出番ね!」
話しながらご主人さまの足元の床にペタンと座り込む。
「来なくていいから」
ご主人さま、苦笑いを浮かべてる。
「早くて何時頃?」
「だから、迎えに来なくていいから」
「遅いのは何時でも大丈夫~」
「いいから家に居なさいよ」
会いたがるわんわん
めんどくさそうなご主人さま
…の図にも思えそうな会話だけど。
ほんとはわんわんに
『大変だからわざわざ迎えに来なくていいよ』って言ってくれてるの、判った。
床に座ったまま、スリ…とご主人さまの太ももに頬っぺたを擦り寄せる。
「お迎え来たい」
「時間判らないし」
「マックで待ってるもん。コーヒー飲む」
「こんなことでおねだりするなよ(笑)」
ご主人さまの太ももにスリスリしたり頭を乗せたりしながら、お迎えに来たいとおねだり。
「だってお迎え来たい。だって…」
あんまり会えないんだもん。
ご主人さまが埼玉に居る時は、ほんのちょっとの時間でも会いたい。
わんわんはいつもいつもご主人さまに会えるの待ってる。
わんわんの家からご主人さまの実家の最寄り駅までは小1時間。往復2時間。
お迎えに行って、直接実家まで送ったら会ってる時間は5分くらい。
でも会いたいんだもん。
往復2時間で会えるの5分でも会いたいんだもん。
だって…の続きは言えなかった。
こころの中でいろんな気持ちがくるくる回った。
なんにも言えなくて、ご主人さまの太ももに頭をポテンと乗せたまま、
腕をまわしてご主人さまの身体を抱きしめた。
「…早くて10時すぎかな」
「!うん、10時すぎね」
「遅いと判らないよ」
「終電の時間知ってるもん」
しょうがないなあ…って、頭をなぜながら時間を教えてくれた。
翌日は弟さんと用事があるのを知ってたから、わんわんとは会えないことも知ってた。
いまバイバイしたら、またいつ会えるか判らない。
でも、お迎えに来たら5分は会える。
それがすごく嬉しかった。