「…おりる?」
声にも張りが無くて、ぽわんと寝ぼけているみたい。
ああ…どっかの駐車場だ…と思うのと同時に看板が目について、
ファミレスかあ…ってノロノロと脳が動き出した。
「行くよ」
「…んー」
まともなお返事も出来ない感じ。
何しろ意識が寝ぼけてる。
ご主人さまが車のドアを開けたから、わんわんもつられてドアを開けた。
ご主人さまが歩きだしたから、わんわんもつられて歩きだした。
自分のことなのに(遠隔操作みたいだなあ)と思ったら可笑しくなった。
ぐるっとテーブルを囲うように椅子が繋がってる喫煙席。
テーブルを挟んで向かい合わせじゃないから、ご主人さまと並んで座れる。
「なにやってんの?」
「…へ?」
「コート」
「あっ!」
ぽわんと寝ぼけ意識のまま席に案内されて、
座ったら普通にコートのボタンに指を掛けてた。
「忘れてた」
「まあ、俺は一向に構わないが(笑)」
「わんわん構うよ」
そうだ、コートの下は裸んぼ。
これ1枚きりしか着てないんだもの、脱ぐわけにはいかないや。
「言わなきゃ良かったなあ」
「おっぱい丸出しになるとこだった」
「ちっぱいだから大丈夫だろ(笑)」
隣り合って座っているから、少し顔を寄せてボソボソと内緒話みたい。
「ふぁッ」
「声(笑)」
油断してたらタマゴが動き出した。
お店の中でコートを脱げないから暑いし、変な汗をかいてしまいそう。
店員さんがオーダーを取りに来る。
ご主人さまがドリンクバー2つって答えてから、
「なんか食べる?」って聞いて来た。
ぶるぶる首を振って、何もいらないよのアピール。
店員さんが居なくなってからご主人さまの耳元で、
「わんわんご主人さま食べる」って言ってみた。
「ロ/ーター食べてるだろ」
くっくっ、って喉の奥で笑いを噛み殺してる。
でもわんわんを見てる目はなんだか優しそうで、
頭を抱き寄せるようにしながら髪を撫でてくれた。
ご主人さまは人前でもわんわんの腰を抱き寄せたり頭を抱き寄せたりしてくれる。
その度にわんわんは人間の女じゃなくてホントの犬みたいになって、
くーんって鼻を鳴らして甘えたくなってしまう。
犬みたいに甘えたくなってしまうのです。