懲りずに妄想する犬【5】 | 夢 出会い 魔性

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日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




ご主人さまの腕に腕を絡めたまま車に向かった。

服の上に羽織るコートは暖かいけど、
裸に直接纏うコートはまるですき間風みたいにスースーして肌寒い。

車に乗り込むと、すぐにご主人さまが暖房をつけてくれたけど、
吹き出す風はまだ冷たくて思わずブルリと身震いをした。


「スタンドに寄るよ」

「ガソリン?」

「空に近かった(笑)」


あ、ホントだ。
横からメーターに視線を落として
(最近はセルフのスタンドが多くて良かった)
なんて思った時に、左側のウィンカーが点滅をした。

車を停めて運転席側の窓を開けると、
「いらっしゃいませ」と若い男性が声を掛けてくる。

「レギュラー満タンで」

「レギュラー満タン」


ご主人さまの言葉を繰り返してから、店員さんが作業に取り掛かってる。

「…あっ…!」

「どうした」

「…動いてる…から…」

「動かしたから(笑)」

「音…が」

「聞こえないよ。俺にも聞こえてないし」

「…ホント?」

「わんわんの中で振動してるから聞こえてる気がするんでしょ」

「…うん…でも…」

「もじもじしてるとバレるよ」


拭いてもらう為に運転席の窓も閉めてから、
ご主人さまが面白そうにわんわんの耳元で囁いている。

身体の中ではあのタマゴが、小さく唸りながら振動を続けてる。

意識がトロンと蕩け始めてしまう。
だって気持ちいいのだ。


「イッてみれば?」

「…そんなの」

無理です、まで言葉が続かない。続けられない。

意識しないと呼吸がはあはあと跳ねてしまう。

「我慢することないのに」

「……う」

キュッと握った手の平がじんわり汗ばんでくる。

店員さんが助手席側の窓を拭いてる。

コートをめくり上げて見せてしまおうか。

…出来るわけ、ない。


「顔が紅いよ」

「…あつ…」

「裸のくせに(笑)」


中の会話の内容なんて知らない店員さんが、
にこにこ運転席の窓の向こう側に立ってる。

ご主人さまが窓を開けると、伝票を差し出しながら金額を告げて来た。

支払いを済ませて車を動かすと、
帽子を取ってペこりと頭を下げている姿がミラーに映った。


「イケなかったね」

流れに混ざった車の中で、ご主人さまがそう言って笑った。

「あっ」

「なんだよ」

「…止まっ…」

「止めたから(笑)」


ロ/ーターの動きが止んだ場所から、じんわりとした痺れが全身に広がってく。

コート1枚纏っただけの身体が、うっすら汗ばんでいるのを感じた。