途中でジュースが飲みたくなって、自動販売機でコーラを買った。
少し屈んで、お尻をぴょこんと突き出してる格好。
ご主人さまの手がわんわんのお尻をササッと撫でる。
きゃ、とか言いながらチラと振り返るわんわん。
「お尻(笑)」
「うん(笑)」
今度はもっと。
ササッとじゃなくて、ぐいぐい撫でられた。
わんわん自動販売機の前でお尻撫でられてる。
なんだか可笑しくてくすくすにやにや笑った。
「嬉しそうだねえ」そう言ってご主人さまも笑った。
さっきの会話を思い出した。
(女の子は好意を持ってる相手には触られたがり)
「自分がさっき言ったんじゃない!(笑)」
ご主人さまに触られるのはいつだって嬉しい。楽しい。
だいすきだからよ、判ってるのかな(笑)
わんわんの言葉は聞こえてないみたいにスルーされた。
ほんとに聞こえて無かったのかもだし、聞こえてても意味が判らなかったのかも。
でもいいの。
わんわんには判ってるから。
自分の心が、判ってるから、いいのさ(フン)
ご主人さまの車に乗っておうちを目指した。
ご主人さまの手が、わんわんの首を後ろから撫ぜた。
それから後頭部を手の平で包むように撫ぜた。
気持ちよくて、ご主人さまの手の平に頭を預けた。
甘えて、ご主人さまにペタっとくっ付きたくなった。
でもなんとなく恥ずかしかった。
「この車、つまんない」
「はあ?なんで」
「遠いから」
「俺が、か?(笑)」
恥ずかしくて、くっ付けなくて、代わりに悪態を吐いた。
くっ付けないのは車が悪いの。
わんわんの軽自動車なら狭いから簡単にくっ付けるのに。
ご主人さまが遠いから…甘えられないんだ…もん。
車が悪いんだもん。
ご主人さまの手が、わんわんの顎の下を触った。
喉を撫でられてる感じ。
優しく顔を撫でられてるみたいだ。
ご主人さまの手の平に顎を擦り寄せた。
喉がゴロゴロ鳴りそう。鳴りそう。
「ゴロゴロ…じゃ、ネコか(笑)」
わんわんと同じことを、ご主人さまも思ったみたいだ。
「…犬だけど気持ちいいよ」
おデートだけ、だから。
きっとこれ以上、触れることは無い。
手の平、首、後頭部、顎の下。
肌が直接触れたのは、そこだけ。
ご主人さまの体温を感じたのは、そこだけ。
(…それでもトロンと蕩けそうだったの)