家の仕事は親父の気分ですべてが決まる。(仕事だけじゃなく私生活もだが)
朝何時から開始で終了時間は未定。親父が飽きたらだ。
しかし俺も実家の漁師をやって早8年が経つ。漁業の1年のサイクルはほぼほぼ理解しているし、段取りに関しても予想がつくようになった。
いっても開始時間は大体決まっているので困ったことはないが、問題は終了タイミングだ。
ここで勘違いしてはいけないのは、機嫌がいい=早く終わるのではない。
結論から言わせてもらうと、機嫌によって
「今日はもう終わってもいいぞ」という日と言わないで謎タイミングで終わり、俺だけ仕事場に取り残される時があるのだ。
社会人を経験している俺は今の環境では親父が絶対的上司であり、理不尽モラハラにも必死に耐えて言いたいことも言わず、給料面にも文句も言わず何に関しても親父が「右」といったら下でも上でも左でも「右」を向いて生きてきた。
会社と違って決まった定時というものが存在しないので、部下である俺からしてみれば親父の「今日は終わっていいぞ」の一言がない限り永遠と仕事をするものなのだ。
そして親父という生き物をこの件に関して補足すると、
くそみてえにプライドが高い
これに関しては親父よりプライドという概念がバグった人間、否、生物を見たことも聞いたこともない。
間違いなく宇宙で一番のプライド宇宙人なのだ。しつこいようだが、宇宙は何個も存在するらしいがその中でもトップだ。
親父は俺との会話は基本的に自分の話を一方的にしてくるか、そもそも話さないかの二択の人間だ。
しかしそのくせ沈黙をとても嫌う。自分の話がなければこの世が無くなるまで自分から沈黙を破ることはない。
破れないのか、破る気がないのかは両方である。
沈黙にとても敏感な親父は3分沈黙があるとプライドスイッチが入りひたすらタバコをふかして一点を見つめ、誰かが(ほぼ俺)が話かけてくれるのを待つ。
※その話は親父が興味を持つ話題でなければならない
俺は機嫌を取りながら頭をフル回転させ、自分は面白くもなんともない親父に関する話題を作り上げ提供するのだ。
あ、献上するのだ。
ではそのまま話しかけなければ、また、どうしても話題が思いつかなければどうなるのか。
親父はどっかへ行く。
そして、俺には何も言わず次の段取りを勝手に決めてその仕事を一人でやっている。
それに気づいた俺はダッシュで親父のもとへ向かい、その仕事を一緒にやる。
こんな小さいこと親父が
「よし、そろそろ次の仕事とりかかるぞ」の一言があれば済む、ただそれだけのことじゃないか。
機嫌が良ければもちろんその一言がしっかりあり、俺もあせらずに一緒に行動するのだ。
ここで仕事が終わるタイミングの話に戻るが、
要するに前述したことが、終わるタイミングにも当てはまるのだ。機嫌が悪い、プライドモードON状態のときはどっかに消えたと思うとすでに姿はない。
だからと言って俺から「もう仕事は終わったの?」と電話なりラインで聞くこともできない。
聞いたら「そんなに早く上がりたいのか?そんなに仕事がいやか?」と小言を言われるからだ。
どっちなのか分らぬままとりあえず小屋で待機をするが一向に戻る気配はない。
その間何か別の仕事もやりたいのだが、もし戻ってきて仕事が継続するときに親父の段取りに沿った内容でないと
「そんなの後でいいからこれやれ、あれやれ」が始まるので、勝手に考えて一人で動くこともできない。
それでもしばらく待つが結果は同じ。
家に帰ってみると親父はとっくにシャワーを浴びて昼寝をしていた。
終わるなら終わるって言えばいいのに。