27日投開票の自民党総裁選で、株式の売却益などにかかる金融所得課税の是非が争点の一つに浮上してきた。 

 

総裁選への出馬を表明している自民党の石破茂元幹事長は2日のBS日テレの番組で、金融所得課税について「それは実行したいですね。

だから岸田(文雄首相)さんも最初それをおっしゃってたはずなんですよ。

どっからどんな抵抗があったか知らないが、何かそれが後退しちゃった感がありますよね」と述べ前向きに検討する意向を示した。  

さらに「金融所得に課税すると、いや、外国に逃避しちゃうよ。

お金持ちが外に行っちゃうよってことがあるんで、それでそれを抑えられたのかもしれません。

ですけども、本当に外に行っちゃうんでしょうかねという、そういう議論は詰めていかなければいけません」としたうえで「単に金融所得課税を強化するとは申しません。

それを強化する場合には、どうやってそういう方々が出ていかないかってことも併せて考えないといけない」と話した。  

 

一方、同じく総裁選に出馬すると表明した小林鷹之氏は3日、SNS(ネット交流サービス)に「金融所得増税よりも中間層の金融所得増を」と題して投稿。

「自民党として新NISAの拡充などを進め、多くの中間層が金融所得による所得増の恩恵を得られるよう取り組みを進めてきました。ここで金融所得課税を強化することは、これまでの取り組みに逆行する上、物価高に苦労する中間層に対する増税となりかねず賛同しません」と主張。

「私はむしろ、iDeCo(個人型確定拠出年金)の拡充など、中間層にさらに金融所得増の恩恵が届く施策を進めていくべきと考えています」とした。  

 

金融所得への課税は一律20%。所得税(個人住民税を含めた最高税率55%)などのように累進課税でないため、高所得者にもたらす恩恵が大きい。岸田首相は就任当初、年間の所得額が1億円を超えると税負担率が下がる「1億円の壁」と呼ばれる逆転現象の是正に向け、金融所得課税の見直しに言及していた。

 

東京証券取引所=和田大典撮影