韓国沿岸警備隊が3月下旬、韓国の排他的経済水域(EEZ)で違法に漁業を行っていた疑いで、中国の船舶5隻の船舶を押収し、乗組員数人を中国に送還した。韓国海洋水産部とパトロール中に発見した。

 

 排他的経済水域とは、沿岸国が海岸線から200海里(約370キロメートル)以内で設定できる水域であり、沿岸国はここでの天然資源の探査・開発などについて独占的な権利を有すると国連海洋法条約で規定されている。

 

   違法・無報告・無規制(IUU)漁業は、世界の海洋資源や海洋生態系、そして合法的な漁業者の生活に大きな害をもたらしている。

遠洋漁業に携わる漁船の数が世界で最も多い中国は、IUU漁業を行う漁船も多く問題になっている。 

韓国の日刊紙「中央日報」は、沿岸警備隊と海洋水産部が3月25日から31日にかけて、済州島周辺で船舶30隻と航空機3機による合同パトロールを行ったと報じた。 韓国沿岸警備隊によれば、韓国の排他的経済水域では1日平均300隻の中国漁船が違法漁業を行っている。

取り締まりが強化される期間はこれが推定140隻に減るという。

 

 今回拿捕された中国漁船のうち1隻は、1枚あたり4万4000ドル超する大型漁網31枚を設置していた。沿岸警備隊はこのうち20枚を破壊し、残りを押収する予定だ。

北朝鮮と韓国の事実上の海上境界線付近にも、中国の船舶1隻が侵入しているのが発見された。

この船の乗組員は漁獲物を過少申告し、また目が細かい網で稚魚まで捕獲することができるタイプの、韓国では禁止されている漁網を使用していた。

 

 ■乱獲には厳しい措置 韓国沿岸警備隊は今回拿捕した中国漁船に対して、総額33万3000ドルの罰金を科し、うち1隻の船長を逮捕。また報道によれば、5人の乗組員が中国に送還された。 

沿岸警備隊のある隊員は中央日報に対して、「稚魚をかき集めて水産資源を乱獲する者に対しては、厳しい措置を取っていく」と述べた。

この隊員はまた、韓国政府は違法漁業者の出身国に対して外交協議の際にその事実を提示し、防止策を取るよう強く求めているとも説明した。

港に停泊する中国漁船(2月8日、浙江省舟山)