悪天候と強風のため2日間延期された打ち上げは、雨が降る中、実施され、瞬く間に暗闇の雲の中に消えた――


ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社(ULA)はアメリカ太平洋時間9月24日01時49分(UTC協定世界標準時同日05時49分、日本時間同日14時49分)、米国国家偵察局(NRO)の信号傍受情報収集衛星「'Trumpet-F/O-2 2'(USA-278, NROL-42, SBIRS HEO-4)」を載せたアトラスVロケット(Atlas-5型541タイプ)を、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地のSLC-3E発射施設から打ち上げた。

アトラスVロケット-NROL-42打ち上げ

打ち上げられたロケットは順調に飛行し、強力な4本の補助スタートブースターは98秒後に燃え尽き、分離され、3分24秒後に第1段エンジンを分離。
先頭フェアリング部が投棄され、第2段エンジンに点火。衛星を繋いだままの第2段Centaur-5-SECエンジンが、燃焼と停止を繰り返し、最終的に'Trumpet-F/O-2(トランペットF/O-2シリーズ)'が運用されるMolniya(モルニア)軌道へ直接投入され、打ち上げは成功した。



トランペット衛星NROL-42

「SBIRS HEO-4」の性能の詳細は公表されていないが、打ち上げ時質量240kg、高度2101km × 37748kmの超楕円軌道(Molniya軌道)で軌道傾斜角62.8°、1周するのに12時間掛かり、信号傍受位置は、ロシア、カナダ、北ヨーロッパ、グリーンランドの上空の北緯60°付近を通過する。
スパイ衛星の軌道


Molniya(モルニア)軌道で運用される'Trumpet-F/O-2(トランペットF/O-2シリーズ)'は、2014年12月13日に「SBIRS HEO-3」が打ち上げられており、その本来の目的は、「北極域の良好なカバレッジは、米国がロシアを観測しようとしている場合、特に北極海からのロシア潜水艦SLBMミサイル発射の可能性がある場合に特に重要である。」と、ハーバード・スミソニアン宇宙物理学センターの天文学者ジョナサン・マクダウェルは述べている。

しかし今回、ジョナサン・マクダウェル氏は更に付け加え、「衛星は、シグナルインテリジェンス(主に通信傍受)ペイロードと、追加のミサイル早期警戒ペイロードを搭載している。それはロシアばかりでなく、北朝鮮の通信傍受の見通しも良いだろうと言う事だ」とも述べている。

SBIRS-System_SBIRS-HEO-4打ち上げアトラスV

米国国家偵察局(NRO)は、この通信傍受システムは、米国と、各地に配備された軍隊、及び潜在的に致命的なミサイル発射が、“同盟国を目指している場合も警戒するため、常に警戒監視している”とし、米空軍は「SBIRS HEO-4」が、米軍の極地域ミサイル警戒能力の補充を完了したと言えるとしている。






ペタしてねペタしてね