左から
長女のダニー
(2000年1月30日生まれ 現在23歳)
次女のパウ
(2002年2月5日生まれ 現在21歳)
三女のアレ
(2004年12月13日生まれ 現在19歳)
アメリカ🇺🇸フロリダ州タンパに本社がある
ロック&ブルース専門誌
ギター・スリルズ・マガジン
2014年1月号
から今回は後半、
ザ・ウォーニングの最新インタビューをご紹介します。
ザ・ウォーニングとギター・スリルズ・マガジンとのインタビュー
ギター・スリルズ・マガジン:
もしもあなたが今年のMTV
(2023年9月13日、アメリカ🇺🇸ニュージャージー州で行われた全米最大規模の音楽授賞式、MTV ビデオ・ミュージック・アワード、略称VMAsのこと)
もちろんザ・ウォーニングも登場してます。
で彼女達のライブパフォーマンス
MORE
(VMAsでのパフォーマンス動画、MTV公式)
を見ていたならば、
ザ・ウォーニングがただただ成功する夢を見ているだけのバンドを超越していることを理解したことでしょう。
現代、そしてかつてのバンドとは存在感が違う、そう思った人となら誰とでも話す事が出来そうです。
エナジー・レベルが本当に必要だった場所だったと思います。
彼女達は以前からずっとそこにいたかのようにも見えました。
私は「モア」を歌うのをやめられませんでした。
その曲は数日間頭の中から離れなかった。
彼女達にいったいどれだけの才能があるのだろう、かと。
私はすぐに他のインタビュー記事から彼女達を取り返す時が来た、と悟りました。
今回彼女達は私達の雑誌のカバーに登場してくれました。
彼女達は表紙にふさわしいバンドです。
ギター・スリルズ・マガジン(以下GTM):
成功が続いていますね、おめでとうございます。
ザ・ウォーニングは決して私をガッカリさせない。
あなた達の音楽は非の打ち所がないです。
MTVに出演する機会を得ましたがどうでしたか?
ザ・ウォーニング(以下TW):
ありがとう!
それには大きな意味があったんです!
MTVに出演することは私達チームにとって今年の目標だったから!
出演できてとても光栄だったし嬉しかった。
みんなと一緒に思いっきり楽しめるようMTVが招待してくれたんです。
GTM:
大きなステージ、それも放送を見ている何百万人もの目の前で演奏したとき、いつもの自分達じゃないな、と思った瞬間はありましたか?
TW:
これまで演奏してきた沢山のステージと少し違ってなんかシュールな感じでしたね。
私達がそこにいることが信じられなかった。
これまでも私達の心は「物事をよりよくしていく」ということを常に受け入れてきました。
私達が作る音楽に取り込むためには、新しいテクニックを向上させたり新しいことを学んだり、といったことをやりたくない、なんて思ったりしたことはこれまで一度もなかったんです。
でも私達がステージに立つことで本当に一番重要に思ってることは、結局「楽しむ」ってことなんですよね。
そして音楽を通して私達が一緒に楽しんでるってことを聴いている全ての人に伝える!ってことにつきるかな。
GTM:
私は何十年も前から人前で話すことを生業(なりわい)としてきました。
けれど今だに何百人の前で気分がナーバスになってしまうことがあります。
あなた達はパフォーマンスの前にどうしてナーバスにならないんですか?
どうやってナーバスな気持ちを和らげているのですか?
あなた方が完璧なパフォーマンスをしている時、ナーバスになってるようには見えないんですよね。
TW:
ナーバスに見えないなんて嬉しい!
正直にいうと、今10年間バンドをやってきて(そんなのもちろん知ってるさ!)、ステージに立つことに慣れちゃってるんです。
ずーっとステージの上にいることに!
なによりも私達がエキサイティングと感じ、モチベーション高くロックしまくること。
そうしてみんなと素敵な時間を過ごすこと。
私達はその状態をこう呼んでるんです。
『ナーバサイトメント(nervousitement: 多分"ナーバスだけどエキサイトしてる"の意味)』って。
GTM:
私は偉大なパフォーマーやアーチストになるためには規律(descipline: ディシプリン)が必要不可欠だとこの記事の冒頭で書いたんです。
あなた方のルーティンで規律はどれくらい重要ですか?
TW:
とっても!
私達は練習が完璧を作るって知っているけど、パフォーマンスする時間が来るギリギリまでたくさん練習しようと考えることが好きなんです。
でも練習だけでは完璧にならなくて、その空間にいる全ての人が発するエネルギーを最大限に楽しんで吸収できるようにすること。
そして音楽がもつフィーリングに集中すること!
だから練習と規律は、私達にとってはそのための鍵🔑にすぎないんです。
GTM:
あなた方の毎日のルーティンってどんなものですか?
完璧な自分自身を保つために例えばどんなことをしてますか?
TW:
正直なところスケジュールで変わるかも。
スケジュールは時にクレージーになるんで。
今年は初めてのワールド・ツアーに行ったし、初めてヨーロッパにも行けたんです!
今年一年間を通じて13ケ国で75公演ものショーで演奏したんですよ!
その上全ての余った自由時間はずっとスタジオにいて、シングル曲「モア」も加えた2024年リリース予定のアルバム用の新曲レコーディングをしてたんです。
なので今年はリハーサルの時間をサウンドチェックだけに限定してました。
これまでは私達のチームがライブ会場で音が正しく出ているかチェックに集中している間、私達はその時間内に出来るだけ全てのリハーサルをしてたんですけどね。
何より私達はステージで全力を尽くせるよう、あらゆることを通して健康を保つようにしていますね。
GTM:
あなた方三人は若い、そしてあなた方に味方してくれている若さがある。
あなた方は今後あとどれくらい今のようなハイレベルなパフォーマンスが出来ると考えてますか?
TW:
そうですね、出来る限り演奏を続けていこうと思わないはずがありません。
私達は自分達がしていることが大好きだから、それを確実なものにするために出来るだけ健康でい続ける方法をキープしながらたくさん働いているんです。
GTM:
あなた方のこれまでの人生で、音楽業界の誰かから「君達は成功できないよ」と言われたことはありましたか?
そんな時あなた方はどう返答しましたか?
TW:
実際に多くの人から、私達が音楽で成功できない、ロックならなおさら無理だね、と言われました。
しかし私達は彼らには耳を傾けず、自らの心に、そしていつも私達をサポートしてくれて感謝しているとても大事な人々の情熱に従うことにしました。
両親はこれまでも、そして今もずっと超協力的ですし、私達と私達の音楽を信じてくれているチームのみんながいます。
私達はこれ以上に無い程の幸せものです。
そしてサポートしてくれているみんなをとても愛してます。
GTM:
過去や現在あるバンドと自分達のバンドを比較したことがありますか?
TW:
色々な所からインスピレーションを受けてます。そうですね、私達の音楽ですべき事を探究する上で、称賛し尊敬している数多くのバンドがあります。
でも特定なバンドのようなことはしたくないという考え方につきますね。
そういった考え方はレコーディングやステージ上で私達なりのやり方を見つけるためにはとても重要なことなんです。
GTM:
私はライブであなた方の演奏を聴きましたが、他のバンドと比較することができないんです。
つまりあなた方は本物のサウンドを持ってるという事です。
あなた方にとって「本物」とはどれ程重要なものですか?
TW:
ありがとう!
私達のキャリアを通じて、なす事全てが常に本物で忠実である、ということが私達の行動原則なんです。
あなたが私達のライブ演奏を観ている時、あるいはあなたが私達の音楽を聴いている時、あなたが見たり聴いたりしたものは全て、常にザ・ウォーニング自身が望んでいるものでもあるんです。
それが私達にとっての音楽!
徹底的に自分らしく堂々とできる最適な空間なんです。
GTM:
ステージ上ではそれぞれ違った楽器を演奏していますけど、特定のブランドはありますか?
あなた方が演奏で使用するブランドの決め手は何ですか?
TW:
私達はそれぞれが演奏する楽器だけでなくライブで使用する全てのハードウェアについても色々なブランドを長年に渡ってたくさん試してきました。
私達が何を選ぶかは、チームとしてもバンドとしても最も重要な事です。
演奏の快適さ、移動がどれだけ簡単か、どれだけ早くセットアップできるか、どれだけ早く片付けられるか、最大限の効率を達成できるか。
それは個人的な好みと実用性の健全な組み合わせなんです。
スペクターベース、PRSギター、DWドラム、セイビアンシンバル、ヴィック・ハースドラムスティックで演奏してます。
GTM:
ザ・ウォーニングのこの先の予定は?
途中でアルバムをリリースしますか?
レコーディングスタジオには戻るのかな?
TW:
私達はたくさんの新しい曲をレコーディングし終えたばかりなんで、上手くいけばすぐに新しい音楽をリリースすると思います。
他にもエキサイティングな出来事が。
来年(2024年)4月にはヨーロッパで私達の初ヘッドライナーツアーを行いますし、
その前には、シップロックト・フェス(Shiplocked: アメリカ🇺🇸マイアミ/バハマ🇧🇸ビミニ諸島/ジャマイカ🇯🇲オーチョ・リヨス/グランド・ケイマン島(イギリス🇬🇧領)のカリブ海で開催されるロックフェス 2024.2.4-2.10)
で演奏しますし、
初参加のドイツ🇩🇪のヴァッケン・オープン・エアー・フェス(Wacken Open Air: 世界最大のロックフェス 2024.7.31-8.3)
やマッドクール・フェスティバル・イン・スペイン🇪🇸2024(Madcool Festival in Spain 2024: 首都マドリードでの大型ロックフェス 2024.7.10-7.13、ザ・ウォーニングは13日)
でも演奏します。
2024年はもっとエキサイティングな事も控えてますけど、またいつかお話しますね!
GTM:
ザ・ウォーニングのインタビュー記事にこれまで注目してきました。
あなた方が成し遂げている事に本当にワクワクされっぱなしです。
あなた方のファンも私同様あなた方を誇りに思っているに違いありません。
あなた方が成功を楽しみ続けられ、手を伸ばした全てのものが手に入るよう心から願っています。
あなた方の音楽を宣伝するために私達が出来ることがあればなんなりと知らせて下さい。
私達の質問に答えるために忙しい予定を割いてくれてありがとう。
TW:
こちらこそ本当にありがとう!
全て素晴らしい質問でした!
インタビューしてくれてとても嬉しかった!
私達はあなた方みんなに大きなハグを送ります。
グラシアス!
新しいアルバムが今から楽しみですねー。
ザ・ウォーニングのことなので、2024年も必ずファンを飽きさせない仕掛けをきっと次から次へと送ってくれることでしょう。
最後に
ザ・ウォーニングがVMAsで披露したもう一つの曲「エヴォルヴ」をどうぞ。
EVOLVE
(VMAsでのパフォーマンス動画、MTV公式)
こちらはVMAsのアフター・ムービー。
ライブでは物おじしないメンバーがめっちゃドキドキしていて微笑ましいですよ。
13分20秒
最後の方、K-POPグループのTXT(TOMORROW X TOGETHER トゥモロー・バイ・トゥゲザー)のメンバーと遭遇したアレがかなりテンション高めでこちらも微笑ましいです。
〈完〉
〈おまけ・説明〉
さて、ギター・スリルズ・マガジンがザ・ウォーニングの特集記事を組むにあたり頻繁にキーワードとして出してきた単語
discipline(ディシプリン)
ですが、
オールド洋楽ファンの中にはこの単語を聞いて、とあるバンドとアルバムを思い出す人もいるでしょう。
そういう自分もこの単語を目にして瞬時に思い浮かべました。
そう、そのバンドとは、ロバート・フリップ御大率いるブリティッシュ・プログレッシブ・ロック・バンド
キング・クリムゾン
アルバムは、
1981年9月22日発売
Descipline(ディシプリン)
このアルバムは1974年10月に発売された正にロック史に燦然と輝く名盤「RED(レッド)」発売1ヶ月前に空中分解のような解散宣言をしてから約7年、
ロバート・フリップのソロプロジェクト・バンド"Discipline(ディシプリン)"が発展し、再編成キング・クリムゾン名義として発売された最初のアルバム。
このアルバムは『レッド』が持っていたブリティッシュ然とした重厚感やいかにもプログレッシブ的な展開、叙情性といった要素が影を潜め、
初めてのアメリカ🇺🇸人でフランク・ザッパ・バンドにいたエイドリアン・ブリューをメンバーに入れたことでわかるように、ポリリズムやニュー・ウェーブから触発されたビート/リズムを中心とした新しい音楽にバンドの姿を変貌させたため、
発売当時
『これまでのキング・クリムゾンと全然違う!』
『こんなのプログレなんかじゃない!』
と散々叩かれた(そして今でも叩かれている)作品。
しかし時を経て、現代の音楽はリズムを中心とした音楽が主流となっているのはさすが先見の名。
実はこのアルバムは突然変異なんかではなく、
このアルバムを作る前、再編成キング・クリムゾンの前にロバート・フリップは当時のニュー・ウェーブ/パンク・ムーヴメントに呼応して、
当時のニュー・ウェーブバンド、
ギャング・オヴ・フォー/B-52'sやTXCなどのメンバー達とビート/リズム主体でプリミティブ/オルタナティヴな実験的インストバンドを作っていました。
それが、個人的に大好きなバンドの一つ
The League of Gentlemen
(ザ・リーグ・オヴ・ジェントルメン)
今だに愛聴するザ・リーグ・オヴ・ジェントルメンの1980年ライブのオフィシャル・ブートレッグCD
『Thrang Thrang Gozinbulx』
"discipline(ディシプリン)"という言葉は、ロバート・フリップが信条としている言葉でもあり、
後に自身のレーベル名になったり、自身が主催するギター訓練コース『ギター・クラフト』での教条(正確には「ギターとその演奏を通じた心身の修練」)となってたりする程好きな言葉のようです。
「音楽や楽器の規律を重んじて鍛錬・習練を積み重ねることで新しい音楽の領域に達する」という、いかにも音楽界の修行僧、御大らしいお言葉ではあるんですが、
要するに「(個人が自分に求めるレベルはそれぞれあるにせよ)高い目標に向かって日頃の練習・ルーティンを欠かさずすることが大事」ということなのかと。
だけどただただ同じ曲の精度を上げるだけでなく(これで1970年代のプログレッシブ・ロックは没落・消滅の憂き目に遭遇した)、
ロバート・フリップが自分で作り上げたプログレッシブ・ロックの雛形、定型モデルを自ら破壊して新たな次元に自らを意図的に引き上げたように、
過去の遺産を引きずり続ける閉塞感は結局自ら意図的に打ち破るしかない、
ということなのかも。
これって1980年代を通過したプログレッシブ・ロック・バンド、イエスやジェネシス、ラッシュですら行った試練でもあり、次世代への新しい音楽の旅へ順応するための進化(エヴォルーション)だったのかもしれません。
あの練習の鬼であるロバート・フリップは過去にこう言ったらしいです。
「テクニックは重要だが、もし音楽が要求するならそれらを無視して何をしてもいい。」
多分ギター・スリルズ・マガジンの記者は、キング・クリムゾンというバンドを念頭にザ・ウォーニングにインタビューをした、
つまりロックの進化形態をザ・ウォーニングに見出したのかもしれません。
ほんとうのところは記者に聞いてみないと
わからないですけどね(笑)
単に規律好きな人かもしれないですし。
ちなみにディシプリンとは、
他人が人に無理やり課す規律じゃなくて、
自分に自分が課す規律や習慣(ルーティン)
のことですので。
一応ですけど。
キング・クリムゾンの『ディシプリン』の歌詞の和訳がかなり面白かったのでつけておきます。
☟
「エレファント・トーク」の"日本語うんぬん"の部分はかなり意訳ですけど。