ルパン三世
原作者モンキー・パンチ氏作画の、なんともカッコいいシングル・ジャケットです。
この曲は『ルパン三世』第3シリーズ(1984〜85年)のオープニング/エンディング曲として作られた作品。
ちなみによく知られているオープニング曲は、
こちら『ルパン三世』第2シリーズ(1977〜80年)の方かと。
この「セクシー・アドベンチャー」という曲が出来たのにはちょっとしたいわくがあるそうで。
まず、シリーズ毎に制作会社が二転三転したということ。
第1シリーズ(1971〜72年)の制作は
読売テレビ。
第2シリーズ(1977〜80年)の制作は
日本テレビ。
そして第3シリーズ(1984年〜85年)の制作はまたもや読売テレビに。
今では信じられないことですけど、
『ルパン三世』第1シリーズ本放送時は、一桁台の超低視聴率だったらしく、
2クール26話(昔は1クール=13話が普通だった)の放映予定が23話で打ち切りになってしまったそうです。
当初から"大人向けアニメ"を標榜していた
『ルパン三世』が全く軌道に乗らず、
途中から"子供向けアニメ"に軌道修正するにあたって召喚されたのが、
高畑勲と宮崎駿。
後に鈴木敏夫と『スタジオジブリ』を設立する、"あの2人"だったりするんですが、
この2人をしても低視聴率の流れは変えられず、
最後まで番組の視聴率は一桁台のまま打ち切りになったそうです。
そんな本来なら日の目を浴びることもなく、
ひっそりと忘れられるはずの低視聴率アニメが、
超人気アニメに大化けした理由。
その理由は、しつこいまでの再放送。
放送終了後に何度も再放送をする内に、口コミが口コミを呼び、
なんと再放送で視聴率20%以上を叩き出す程の人気コンテンツになっていったそうです。
これって『機動戦士ガンダム』と似た現象かも。
空前の社会現象、ガンプラブームが始まったのも、
本放送後の1981年3月劇場版『機動戦士ガンダム』公開前に開始された再放送からと言われていますね。
再放送の成功が呼び水となり、
『ルパン三世』第1シリーズから5年もの月日が流れた1977年に
第2シリーズを(読売テレビでは無く)日本テレビが作ることになったそうですが、
「第1シリーズとは全く異なった作品を」と、
かなり読売テレビに対抗心を持って作られた作品だったそう。
第3シリーズが読売テレビに戻った経緯はよくわかりませんが、
オープニング曲「ルパン三世のテーマ」が使用できなくなるという問題が発生したそうで。
日本テレビ系列の出版会社、日本テレビ音楽に盤権があるため読売テレビが使用できない
というのが理由だそうですが、
同じ系列局でこんな事が起こるというのもなんか不思議な感じがします。
そこで第3シリーズオリジナル曲を第2シリーズと同じ作者の大野雄二に依頼して作られたのがこの「セクシー・アドベンチャー」。
(大野雄二も新しいオープニング曲を頼まれたとき、なんで第2シリーズの楽曲が使えないのか最初意味がわからなかったらしいです)。
これってNHK朝ドラの"NHK東京vs NHK大阪"みたいな、キー局同士の持ち回りによる対立構造だったんでしょうか?
「日本テレビ」は関東キー局、「読売テレビ」は関西キー局ですからねー。
楽曲に戻りまして、
オープニング曲「セクシー・アドベンチャー」
1978年発売1stアルバム『マイルド』より
ハッピー・パーティー
アメリカ🇺🇸南部のスワンプ・ロックなんですけど、
最初聴いた印象としては、細野晴臣・大瀧詠一・松本隆・鈴木茂の「はっぴいえんど」を思い出させるようなメロディの曲ですね。
ジョー山中絡みで
元フラワー・トラベリン・バンドのギタリスト・石間秀樹とキーボーディスト・篠原信彦が参加しているとのこと。
そこで話はちょっとずれますけど、
ジョー山中とフラワー・トラベリン・バンドに関して少し。
ジョー山中といえばやはりこの曲を思い出します。
人間の証明(ライブ)
松田優作が亡くなったのが1989年11月6日。
その年の内田裕也主催『ニューイヤーロックフェス』での哀悼の歌唱とのこと。
なんというか胸に染み入る歌声です。
元々ジョー山中はプロボクサーから転身し、
GS(グループ・サウンズ)4・9・1(フォー・ナイン・エース)
のボーカルから内田裕也に引き抜かれ、
『フラワー・トラベリン・バンド』という日本最初期のドゥーム/ヘヴィ・ロック/ヘヴィ・サイケバンドのボーカルになったお方。
FLOWER TRAVELING BAND
1970年発売の1stアルバム『Anywhere』
では、なんとキング・クリムゾンの『21世紀の精神異常者』やブラック・サバスの『黒い安息日』をカバーしてます。
※『21世紀の精神異常者』収録のキング・クリムゾン1stアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』の発売日は1969年10月10日、『黒い安息日』収録のブラック・サバス1stアルバム『黒い安息日』発売日は1970年2月13日に対し、
フラワー・トラベリン・バンドの1stアルバム『Anywhere』が発売されたのが1970年10月21日だったんで、当時としてはかなり早い時期のカバーかと。
セカンド・アルバム『SATORI』(1971年4月25日発売)
はアメリカ🇺🇸とカナダ🇨🇦で発売され、
当時EL&P(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)
EL&P
ともツアーを行った凄い経歴を持っています。
ソロワークでは、1981年に映画『あしたのジョー2』のエンディング曲も歌ってました。
映画版では、ジョー山中があのカーロス・リベラの声を担当したんですね(涙😢)。
こちらはTV版のカーロス・リベラ
元々ボクサーの上、矢吹ジョーと同じ名前ということがなんとも感慨深いですね。
元フラワー・トラベリン・バンドのギタリスト・石間秀樹とキーボーディスト・篠原信彦の2人は、フラワー・トラベリン・バンドが解散した翌年の1974年には
元ハプニング・フォー(GS〜日本の初期プログレッシブ・ロック・バンド)
↓
新六文銭(吉田拓郎バンド+小室等、1973年)
左から吉田拓郎、柳田ヒロ、小室等、チト河内、後藤次利。
色々不運が重なり短命に終わったそうですが、今見るとフォーク&ロック界混成のスーパーバンドですね。
吉田拓郎と小室等は、井上陽水・泉谷しげると1975年にフォーライフ・レコードを設立した仲。
のメンバーだったチト河内(ドラム)、
後に工藤静香など多くの歌謡曲の作・編曲を手がけることになる、同じく新六文銭メンバーの後藤次利(ベース)
と1974年にバンド『トランザム』を結成、その後メンバーチェンジを繰り返します。
こちらは『あぶない刑事』よりも9年早く放映された、アメリカ🇺🇸のバディ刑事物のTVドラマ『スタスキー&ハッチ』(日本では1977〜81年放送)のテーマ曲
LOVE IS AROUND
こちらはオープニング。
真っ赤な1976フォード・グラントリノがカッコいい。ですが、これが覆面車というのもアメリカ🇺🇸らしいですねー。
だいぶ脱線しました。
話は中村裕介に戻りまして、
実はこの方を知らなくても、この懐かしコマーシャルならば憶えている方もいるかも知れません。
(首都圏、特に神奈川県の方はご存知かも)
このCMで『街の遊撃手』とナレーションしているのも中村裕介さんだそう。
しかし、今見ても度肝を抜かれます。
多分2度と作れないとんでもないCMです。
これ、全てのCMに合成・CGを一切使ってないそうです。
今ならありえない労力。
感動すら覚えます。
全てフランス🇫🇷パリの実在の場所で撮影したそうですが、パリ市、よくOK出したものです。
『007』シリーズのカースタントをしていた、当時世界最高レベルのカースタントマンレミー・ジュリアン監修の元作られたそう。
その後中村裕介はタバコのCMソング『Far Away』(日本語詞『夢商人』)を作りましたが、この曲、特に日本語バージョンはシティポップの傑作かと。
ただただカッコいい。
ぜひ聴いてもらいたいです。
話はエンディング曲に変わります。
歌っているソニア・ローザ。
実はボサノヴァ界ではかなり有名な方だそうで。
ブラジル🇧🇷サンパウロ出身。
18歳でボサノヴァ歌手としてブラジル🇧🇷でアルバムデビュー。
1stアルバム『A Bossa de Rosa de Rosa』
(1967年)
こんな不思議な歌唱法(というか呼吸法)初めて聴きました。
ソニア・ローザはこんな懐かCMの曲でも歌っています。
ソニア・ローザが大野雄二と組んだワークのひとつに『俺はご先祖さま』というTVドラマのオープニング曲があります。
当時19歳、絶賛売り出し中のマリアンが主役に抜擢された他、
石坂浩二(若い!)、浅野ゆう子、井上順、佐藤浩市、あべ静江、根岸季衣、三浦洋一、藤岡琢也、松山英太郎、山城新伍。
未来からUFO🛸型タイムマシンでやってきた"ひいひいひ孫"が、石坂浩二扮するご先祖さまの家に転がり込むというSFコメディ。
こちらバックミュージックは全く別の人ですが、あらすじがなんとなくわかります。
このご先祖さま、結構頼りないんですけど何故か女性にモテるという。