業界用語で 乱れた売り場を整えることを「フェイスアップする」と言う。

ここ数ヶ月前から、雑誌が毎週のように大量に廃棄されることが続いている。

廃棄されるのは発売日から1週間近く経過して、返本間際の青年コミック誌。
「ヤングマガジン」「ヤングジャンプ」「ヤングキング」などが多い。
天文雑誌は対象外。

万引きではない。
間違いなく、ちゃんと購入している。
発売日から何日か経過して、売れ残りを問屋へ返本しようとする直前に 同じ雑誌を まとめて数冊買って行かれる。

はじめはお客様が 発売日を勘違いされているのではないかと疑って、レジで何度も説明したけれど、お客様はニコニコしながらうなづくばかりで、そのまま雑誌を購入して行かれた。

私の店ではコロナ禍以来、コミック雑誌を袋詰めして販売している。
どこよりも丁寧に袋詰めしているので、ゴミ箱に大量に捨ててある雑誌が当店で販売していたものかどうか即座に判断出来る。

ゴミ箱に大量に捨ててある雑誌は
間違いなく
私が丁寧に袋詰めしたものばかり。

お客様は何冊も同時に購入した雑誌を 開封もせずにそのまま捨てているのである。

その行動は謎に包まれているが、昨夜、更に新しい事実が判明した。

そのお客様は大量に雑誌を買って、空になってしまった棚に
周りの雑誌を移動して並べ直していたのだ。

ただ、買い物をするのではなく、乱れた売り場を整えてくれていたのだ。

そう、『フェイスアップ』してくれていたのだ。

・・・実は私も他では心当たりがある。

いつも行く書店やホームセンターでは

ついつい仕事の癖で
売り場を整えてしまうのだ。

時々、他のお客様から
従業員さんと間違われて
「あの商品はどこですか?」
と尋ねられることもある。

よせば良いのに
基本的に良い人の私は
ついつい
「その商品なら、〇〇のに棚にありますよ」
などと、案内してしまうのだ・・・

この前は書店の駐車場で
見ず知らずの女性から助けを求められて、自動車のトラブルに対応してあげたこともあった。

もしかしたら、私も他所では
不審者と思われているのだろうか?

私の店で 返本間際の売れ残りの雑誌を大量に買って
読まずにそのまま廃棄するお客様もそんな善意の人なのだろうか?

まるで外星人のように 
そのお客様の思考が読めない。

リピアのように 
ただの とことん良い人なのか、

ザラブや メフィラスのように
実はどす黒い裏があるのか

謎は深まるばかり。