ここのところパイロットの飲酒が
社会問題化している。酒を飲むこと
そのものが悪いというつもりはない。
ただ、「残るほど」飲むというのは問題だ。
緊張の糸が張り詰めたフライト。機長の下で
強いられる精神的なストレス。到着後、最小の
滞在時間でまた同じ距離を飛んで帰らなければ
ならないプレッシャー…
「飲まずにやっていられるか!」という部分も
大いにあるだろう。ストレスや精神的な緊張を
ほぐすためならば、酒も大事な嗜好品。実際、
酒以外にもパイロットの喫煙者も意外と多い。
以前は「ピー」もなく、淡々と翌日の業務が
始まっていたわけだが、いつからか呼気検査が
始まり、今では逮捕者が出るまでになってしまった。
呑みたい気持ちを抑える。飲んでも翌日に
残らない程度に抑える… といった自制が、
かつてのパイロットの矜持だった。 自らを
律する強い意志が空の安全を守ってきた。
私も酒好きの分類に入る。他山の石として、
これからも飛行前の肉体と精神の健康管理には
一層気を引き締めて臨まなければならない。
ちなみにわが社の規定は、飛行前12時間の
飲酒禁止。飛行前日からの7時間以上の睡眠。
飛行当日の呼気アルコール含有量0.4mg/ml
(0.04%) あるいは呼気1リットル当たり0.2mg以下と
定められている。自動車の酒気帯び検挙の
基準値よりも厳しいことは言うまでもない。
ざっくりと割り切って、私はフライト前日は
飲まないことにしている。