進路権 | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 伊豆半島沖合で、米イージス艦が
貨物船と衝突し、再起不能になり
かねないくらいの深刻なダメージを
受けた。艦体の損傷だけではなく、
艦長室や乗組員の居住区がどこに
あるかなど、機密に近い情報までもが
あらわになってしまった。

損傷したフィッツジェラルド
 艦船の世界、進路が錯綜した場合に、
どちらの船が進路を譲るべきか、厳格に
国際法で「進路権」が定められている。
 
 航空機の世界も船の世界から学んだ
ルールを踏襲しているので、空中でも、
水上と同じ進路権ルールが適用される。
 
 基本は
   「相手の左舷を見た方が譲る」
                     である。
           
 そのため、船も飛行機も舷側(飛行機は
翼端)に航法灯という明かりを灯しており、
右舷が緑、左舷が赤と決まっている。

航空機の進路権
 相手の左舷(つまり「赤」)を見たら
「止まれ」ならぬ「譲れ」ということ。
右舷(緑)を見たら「Go」である。

衝突の概要
 さて、両船の衝突の推測図を見ると…
個人的にはイージス艦に非があるように
思える。この位置関係では米艦のほうが
進路を譲るべき位置にある。
 
 詳しくは事故調査の結果を待つしか
ないが、フィリピン貨物船が米艦を海上
自衛艦と勘違いして、賠償金目当てで
当たり屋まがいの操船をしたとかでも
ない限り、米艦の不利は揺るがないような
気がする。

 余談になるが、航法灯の赤と緑、どっちが
どっちかわからなくなったとき、「左翼はアカ」
と覚えておくとわかりやすく、忘れない(笑)