初夏の航空知識強化月間 ④ | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

PTD ~ Pilot To Dispatch ~

ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 さて、某女流写真家さんの
お写真を拝借してのお話、
いよいよ最後の操縦舵面の
ご紹介です。

 飛行機で旅をされ、翼の近くに
お座りになられたことのある方は
ご覧になったこともおありかと
思います。着陸した瞬間、主翼の
上に小さな板がたくさん、一斉に
立ち上がります。

スポイラー
 「スポイラー」という舵面です。
「スポイル」という「だめにする」と
いう意味の単語から来た名称で、
着陸後に主翼上面に立ち上がり、
残っている揚力を「スポイル」し、
機体の重量を全て車輪にかけ、
ブレーキの効力を最大限引き出す
ための舵面です。
 
 勘違いしていらっしゃる方も
いることがありますが、「スポイル」
するのは揚力であって速度では
ありません。速度をスポイルする
役目はスラストリバーサー(エンジン
逆推力装置)と主脚のブレーキが
担っており、スポイラーが速度を
落とす役割は、ほんのわずかです。
 
 B777の場合、各翼7枚、計14枚の
スポイラーが装備されており、主に
油圧でコントロールされていますが、
2枚だけ、4番と11番のスポイラー
だけはコックピットとケーブルで
直結されており、万が一油圧が
利かなくなっても最低限の操舵が
できるようになています。
 
 着陸時によく見ていると、1枚だけ
遅れて立ち上がり、角度も他の
板と比べてズレている板があります。
それが「直結」のスポイラーです。