陸上自衛隊機墜落 | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 昨日から消息を絶っていた陸上自衛隊の
固定翼機LR-2が墜落していたことが判明。
搭乗していた4名は全員殉職とのこと。
 
 場所は函館空港の北西20マイルあたり。
昨日は天候が悪く、IMCだったとのこと。

 CFITかなぁ…?
 
 CFIT、Controlled Flight Into Terrainの略。
機体損傷とか操縦系統の故障などではなく、
言葉は悪いが「パイロットの勘違い」で、正常に
飛行していた機体が障害物に突っ込んで
しまう事故の総称。
 
 なぜそんなことが起こってしまうのか?
人間心理の面からもまだ研究中の課題
なのだが、チャートの読み間違いや単位の
変換ミス、上官や査察官が同乗している
という極度の緊張、家族の病気や死亡、
借金など、感情的に飛行に集中できない
ような状態で起こす判断ミスや、「もう
ちょっと降りれば地面が見えるはず」という
焦りからくる制限高度違反、航路や高度の
逸脱を認識したものの、黙ってこっそり
修正しようとして起こす「下手と言われたく
ないプライド」など、様々な原因があると
言われている。
 
 操縦している本人は「このコースで
大丈夫」と思って飛ばしているから、回避
操作などの形跡もなく、頭から突っ込んで
いる残骸が多いのもこの事故の特徴。

LR-2墜落現場
 この写真を見ると、機体が木端微塵に
なっているので、相当な速度で山肌に
衝突したものと思われる。機体は正常
だったから緊急通信もなかったのだろうし、
自信満々で飛んでいたから回避操作も
せずに(あるいは状況を発見しても時
既に遅しで)激しく衝突したと思われる。
 
 殉職された4名の隊員の冥福を祈る
ばかりであるが、我々飛行機乗りは、
まずは直近の「事故の連鎖」を防ぐべく
細心の注意を払わなければならないし、
いずれ出てくるであろう事故報告書から
学び、同じような悲劇を回避できる
知識と技術を備えなければならない。