訓練生の1人が来月チェックライド
(実地試験)を受けることに。フライトの
ほうは大体仕上がっているので、
去年の暮れからは口頭試問対策を
週一回ペースでみっちりと鍛えてきた。
主席教官からは口頭試問の仕上がりは
大丈夫だろうというお墨付きをもらい、
残るはフライトの技量総仕上げ。
技術的には問題ない訓練生なのだが、
今一つ「心」が弱い。私以外の教官と
飛ぶとき、特に主席教官による進度
審査のフライトの時などは、緊張の
あまり縮み上がってしまい、普段なら
できることもできなくなってしまう。
こんなことでは最終チェックを通過
できても、本番の審査で落ちかねない。
精神面だけは、いくら私でも鍛えようが
ない。本人の気持ち次第なのだから…
この先、実地試験に合格したら、
もう私と飛ぶことはない。全ての状況下で
彼自身が責任を持って判断、操縦に
当たらなければならない。その重圧に
耐えてこその「機長」である。
「誰が座っても、隣にいるのは俺だと
思え!」とハッパをかけてきたが、
はたしてどうなることやら…
ただ、受験や大きな大会などでも
そうだが、適当な準備で(何とかなるよ)と
高をくくった状態の時は大概失敗する。
勉強すればするほど、練習すれば
するほど不思議と不安が増してくるもの。
もし、今の彼がその状態であるのならば
問題ないとは思うのだが、こればかりは
私にもわからない。
信じて送り出すしかないのだが、
こっちまで胃が痛くなりそう…
頑張ってくれよ…