基準が今月から大きく変わった。
従来のPTS (Practical Test Standard) に
代わり、新しい ACS (Airman Certification
Standards) という基準が適用される
ことになったのだ。

PTSにあった審査項目は概ね残され、
そこに最近課題となっている「危機管理」や
「状況判断」、さらにはCRM (Crew Resource
Management) と呼ばれるコックピット内
でのクルー同士の協調や適切なコミュニ
ケーションスキル、さらにはそれをベースに
最近提唱されているSRM (Single-Pilot
Resource Management) といった、パイロットの
内面に依存する航空安全の資質を問う
課目が新たに追加されている。
以前からこういった科目も口頭試問で
試されてはいたのだが、どのような内容を
聞かれるかは査察官や試験官の任意項目で
あった。それが今回、具体的に何をどのように
問われるのかが明記され、さらに「シナリオ
ベース」にアレンジされて、飛行の各フェーズで
それぞれ状況に応じた的確な判断や答えを
求められる、より実践的なものとなっている。
それぞれの項目はPTSよりもさらに細分化され、
ページ数は増えたものの、航空局がパイロット
候補生に何を求め、何を学んで欲しいのかが
明確に記され、教官側としては、ACSの新基準を
しらみ潰しに教えていけばおのずと結果が
出るという、教官や試験官のクセが出にくい、
公平な基準になったと感じている(逆に言えば、
教官、生徒共に勉強量が飛躍的に増える
こととなるわけだが…)
とはいえ、20年以上PTSに慣れ親しんできた
私にとって、この転換は大事件。ただいま
首っ引きで熟読中…