授業料 | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

PTD ~ Pilot To Dispatch ~

ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 午後のフライト。到着機からパイレップ
(飛行中の航空機からの気象通報)で
10,000フィート以下でのモデラート・
タービュランス(中程度の乱気流)と
ローレベル・ウインドシア(地表近くでの
急激な風向風速の変化)が報告されていた。
 
 基本、私は訓練の「Go/No Go」の判断を
訓練生に委ねている。気象を読み、自らの
技量と当日の訓練予定科目を照らし合わせ、
行くか? やめるか? を判断させる。
これも機長の判断力を養う訓練の一環だと
思っているから。もちろん、昨日今日飛び
始めた訓練生とか、あまりにスッとぼけた
判断をした訓練生の判断には介入するが…
 
 で、今日の生徒は…
 
     「やめる」
 
 よしよし、いい判断だ。
 
 過去には似たような気象で「Go」の判断を
したので、「本当に行くのか?」と念を押して
出たうえで、エアターンバックやランプアウト
リターンになった例がたくさんある。
 
 飛びたい気持ちもわかるが、上がって
何もできなければお金の無駄以外の何物でも
ない。安全にもかかわってくる。大型機の
モデラートは、我々にとっては「シビア」だ。
 
 身銭を切って飛んでいる以上、訓練生には
できるだけ無駄遣いをさせたくはないが、「行く」
といった以上、機体代と教官代はきちんと
請求させてもらうことになる。
 
 高い授業料を払って学ぶものもあるだろうが、
教官の判断をよく見ていれば、無駄な時間と
カネを節約することもできるものだ。