鹿児島空港ニアミス雑感 (中) | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 (昨日の続き)
 
 人間の心理というものは面白い
もので、注意力を満遍なく分散
できると思ったら、次の瞬間には
一点集中になって周りが見えなく
なってしまうこともある。
 
 バーゲン会場のオバチャンとか、
ライブ会場のアイドルファンなんかも、
普段はああではないだろう。極端な話、
そんなもの。お目当てのものが眼に
入ったら、もうそれしか見えない…
 
 飛行機の世界でも、過去にこれと
同じ一点集中が原因と思われる
事故や未遂が数多く起きている。
 
 ・工事中の滑走路に誤認着陸
 ・誘導路と滑走路を間違えて着陸
 ・手前にあった小さい飛行場を
  目的地と間違えて着陸
 
 探していたものが見つかった時、
それが本当に正しい探しもの
なのかを確認するよりも前に、
(あぁ! あった!)の気持ちが
勝ってしまうと、そこから先の作業を
放棄して、一番最初に眼に入って
きたものに集中してしまう心理
状態である。
 
 鹿児島空港での新日本航空機も
これと似たような状況だったのかも
しれない。管制から先行機がいる
ことを知らされていたため、接近
しないように一生懸命探して、眼に
入った瞬間、それが全日空機で
あったとしても、機種や塗装を確認
するよりも先に(見つけた! これで
もう大丈夫だ!)の方が勝ってしまい、
それより先の確認を怠って滑走路に
向かって旋回してしまったのでは
ないだろうか?
 
 実はこれ、アメリカではわりと
多い事例。
 
 アメリカは大多数の飛行場が
管制塔のない、「ノンタワー」と
呼ばれる空港で、パイロットは
飛行場ごとに割り当てられた
周波数で自分の位置を「実況」
しながら他機の「実況」を聞き、
自分の周囲の航空機の状況を
判断しながら離着陸を行う。

 訓練生とか新米パイロットは
頭の中に自機と他機の位置
関係を描くことが出来なかったり、
単発プロペラ機とジェット機の
速度差の感覚が身について
いなかったりして、往々にして
こういった割り込みやニアミスを
引き起こすことがある。(もちろん、
アメリカだって管制塔のある
飛行場では管制官の指示に
従わなければならないわけだが)
 
 しかし、危険が起きやすい
状況があるということは、それに
対する対処法というのもあるわけで…
 
 今日は長くなるからここで一回
切ります。 
 
 (つづく)