調布墜落事故雑感 (上) | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

(今夜は長いので2部構成で…)

 調布の小型機墜落事故、犠牲者が
出たことは痛ましく、操縦輪を握る
者として安全への決意を改めて意識
することとなった。
 
 原因についてはまだ調査中であるが、
二つの可能性を推察している。個人的な
推測であることを前置きさせてもらうが、
離陸前に、正確には離陸滑走中に、
既に問題は露呈していたような気がする。
 
 調布飛行場を離陸する時の映像を
見ると、通常ならば滑走路中ほどで浮揚
していなければならない機体が、出発端
ギリギリまで滑走を行なっていたように
見える。
 
 当日はこの夏一番の暑さだった。
滑走路上は50℃を超えていた可能性がある。
プロペラ機、ジェット機を問わず、気温が
上がると空気の密度が下がり、エンジンの
推力も落ちるし、揚力も出にくくなる。
 
 さらに、注目している証言がある。
事故機の機長が、先行機の機長に頼んで
出発順を割り込ませてもらっていたと
いうことである。事故機が本来の出発
順位より先に上がるワケだから、先行機を
かわして滑走路に入らなければならない。
その際に、「インターセクション・テイクオフ」
という、滑走路の途中から離陸操作を
開始する手順を実施していたとしたら、
有効滑走路長は、調布本来の800mよりも
短かった可能性もある。
 
 (続く)