昨日、偶然にも19年前に教えた
訓練生と再会する機会があった。
私の飛行場にある設備の作動試験の
ために飛んできてくれたのだが、私の
部署の次長と前任地が一緒だった
とのことで、最初に次長から彼の
名前を聞いた時には一瞬耳を疑った
程だった。
当時まだ高校生だった彼は、
今では立派な飛行機乗りになって、
自信に満ちた姿で私のオフィスに
現れた。彼も自分の部署では次長
クラスなので、私も含めてオフィス
全員で立ち上がって彼を迎えた
ところ、満面の笑みで彼は私に
敬礼をしてきた。訓練生時代と
同じ所作だったが、職場の若い
部下たちは随分と面食らったようで
ある。まぁ、飛行場管理部では
普段何をやっているかわからない
オッサンだからな…
次長を交えて昔話に花を咲かせて
いると、事業部長も降りてきて話に
加わった。何でもこの3人は幹部
研修で同期だったとか…
彼が私の教官っぷりをいろいろと
話してくれたおかげで私も面目躍如。
しかし、それは彼がエリート街道を
駆け上がったからのことで、私は
初等教官の任務を果たしただけ。
それでも、私の教え方というか、
指導哲学は間違っていないんだと
改めて自信を深めることができた。
こうして立派なパイロットになり、
大型機で活躍している教え子たちに
再会するたびに、飛行教官としての
充足感に浸ることができる。できれば
教え子全員を彼のようにしてあげたい
のだが、なかなか上手くはいかない。
さて、この先、あと何人のエリート
パイロットを育てられるだろうか?
教官冥利に尽きると同時に、自問して
しまう1日だった。