タイ航空の緊急着陸 | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 今朝未明、知人のつぶやきが
妙に気になって調べてみた。

 バンコク発フランクフルト行きの
TG920便、使用機材はエアバス
A380、日本線にも投入されている
超大型機だ。
 
 TG920飛行経路
 
 スワンナプーム空港の滑走路
19Lを離陸後、ANTIC 1C DEP
(出発経路)を通って上昇中、北に
進路を向けたと思ったら左に急旋回。
真南に一直線に飛んでタイ湾へ
出ると、何回かホールディングして
から今度はSILVA 1B ARR(到着経路)
に乗っかって、再び同じ滑走路
19Lに着陸。この間わずか54分の
フライトであった。
 
 ANTIC 1 DEP
  
SILVA 1 ARR
 
 非公式の情報ではあるが、降着
装置(飛行機を地上に降ろすための、
タイヤ、ブレーキ、脚、油圧、冷却
などの諸々の装備の総称)の異常
だったということで、飛行中に緊急
事態を宣言したらしいから、火災とか、
異常高温系の警報が出たのかも
しれない。
 
 そんな事態なのに何故タイ湾の
上でぐるぐる回っていたのか? 
おそらくこれは燃料を投棄していたと
思われる。920便はフランクフルト行き
だったので、おそらく満載に近い燃料を
積んでいたと思う。離陸直後だし、
このままでは最大着陸重量を上回って
安全な着陸ができない可能性が高く、
しかも肝心の降着装置のトラブルで
ある。機長はこの旋回中にギリギリまで
燃料を減らし、機体を軽くしてから
スワンナプームに持って帰ったのであろう。
着陸時の速度が僅か143ノットであった
ことも、いかに機体が軽かったかを
物語っている。
 
 何はともあれ、無事でよかった。
 
 それにしてもホールディング上手いな…