何はともあれ、事故にならなかったのが
よかった。パイロットの日頃の訓練の成果が
発揮された危機回避の事例である。
単純明快な管制ミス。滑走路上に車両が
いることを忘れて進入機に着陸許可を出して
しまったことが原因。
管制を担当している海上自衛隊、昨日は
日曜日で、自衛隊機の飛行がなかったから
民間機の離発着を全て1人で担当させて
いたという。
これではフェイルセーフが働かない。
誰かのミスを他の誰かがカバーする形に
なっていない。管制塔の中に1人しか
いなければ、今回のようにその管制官が
ミスをしたらそれで終わりだ。万が一、
管制官が故意に航空機をぶつけようと
誘導したら、それを止める手だてはない。
うちの飛行場は簡単ながら、かなり
効果的な方法でこのようなミスが起こり
にくいようにしている。
1つ目は、滑走路に車両が入ると、風向
風速を表示する気象センサーのモニターを
蓋で覆ってしまうこと。こうすると、離着陸機に
誤って許可を出そうとしても風の情報を読む
ことができないので、滑走路上に誰かがいる
ことがすぐにわかる。
そして2つ目は、どんなにヒマでも必ず
最低2人は管制塔にいること。それも平行
業務ではなく、1人が管制を行い、もう1人は
ウォッチスーパーバイザーとしてそれを常時
モニターするという形。お互いに補完しあう
ことで、ミスの発見に努めている。
こんな単純なことでもミスは大幅に減らせる。
大掛かりな検証や組織改革も大事だと思うが、
ちょっとしたアイディアと小遣い程度の出費で
安全が買えることもあると思う。