終わっちゃったね… (中) | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 開催地ソチへの感想は前回書いたので、
今日は選手。かつてスピードスケートで
金メダルを取った清水選手が「限界まで
やっているだけでは勝てない。自分の
限界を超えてどこまでいけるかがカギだ」と
語っていたことが記憶に残っている。
 
 遊びたい盛りの若者が、衰えの出始めた
ベテランが、「その1日」のためにひたすら
日々研鑽してきた。それでも限界を超える
厳しい鍛錬の成果を発揮することなく、
現地まで行っておきながら公式練習で
怪我をしたり、病気になったりして戦線
離脱を余儀なくされた選手もいた。
 
 そんな中での「世界の4位」である。
サラちゃんや上村選手が公式練習も無事に
こなして本番に臨んだ「4位」である。そして、
そんな大舞台で、上村、浅田の両選手は
最後となるであろう「その1本」で完璧な
滑りを見せてくれた。
 
 日本人の悪い慣習に、「過度の期待」や
「失敗を認めない」姿勢があると思う。親や、
学校や、社会が、過度の期待を負わせ、
そのプレッシャーで自らを見失って崩れて
いった事例はスポーツだけではなく、受験
などにも枚挙に暇がない。そして、それだけの
期待をかけておきながらも「失敗」にはことの
ほか冷たい。会社でも、政治の世界でも、
日本は一度失敗したらそこから立ち上がる
ことはとても難しい風土の国である。
 
 そんな中でスケートの羽生、浅田両選手は、
「失敗からの飛翔」を見せてくれた。転倒や
SPの失敗でも気持ちを強く持ち、見事な
リカバリーを見せてくれた。「その1日」の
ための長い長い準備。失敗したら「リセット」
してすぐに始めからやり直すことに慣れて
しまっているゲーム世代にはなかなか
できない芸当の一つではなかっただろうか?
 
 「努力は必ず報われる」ということを
7度目の大舞台で証明してくれた人もいた。
「老い」は年齢ではない、「情熱があるか
ないかの差」ということを見せてくれた
葛西選手。「いいトシなんだからいい
加減に…」という、これまた余計なお世話の
日本の悪習を見事に払拭してくれた
われらが中年の星。

(つづく)