昨日の予報では今日は大雪。予報母体によって量はまちまち
だったが、東京でも5~15cmは積もると言われていた。雪国の
かたには(アホか?)と思われるかもしれないが、東京で5cmも
積もったら「大雪」である。電車は止まり、高速はマヒし、人々は
滑って転んで死にはじめる… 15cmも積もろうものならもはや
首都としての機能は停止しかねない… 大袈裟ではなくこんな
感じなのだ。
飛行場もまた雪の影響を受けやすい施設で、特に私の勤務する
飛行場のように滅多に雪の降らない地域では、ひとたび降ると
それはもう大騒ぎになる。雪かきの範囲が半端じゃないのだ。
滑走路・誘導路・駐機場… 全部を一気に除雪するほどの除雪車は
ないから、優先順位を決めて作業を進めていく。もちろん滑走路が
最優先。続いて離発着機が使うスポットとそれを結ぶ誘導路。
雪かきの順位の決定や変更などは私のオフィスが前線指揮所と
なり、関係部署の管理職たちも顔を揃え、方針が決まるとそれぞれの
担当に指示を出し、現場の猛者たちが除雪車を使って盛大に走り回って
除雪作戦を展開していく。我々のオフィスも、除雪車が来ない緊急
車両の通路やオフィス出入り口などを手作業で除雪することになる。
雪かき作戦が発動された時に勤務についていた者、応援要員で
家から呼び出された者、たまたま書類の処理かなんかでオフィスに
顔を出していてそのまま作戦に巻き込まれてしまった者たちを
総称して我々は「雪かき選抜」と呼んでいる。雪が止むか、主要エリアの
雪かきが終わるまで「卒業」を許されない、恐怖の選抜である。先日の
大雪の日には滑走路が除雪したそばから積雪し、ようやく反対の端まで
行ったと思ったら最初に除雪した部分がまた雪に覆われていたりと、
地獄のような雪との格闘が徹夜で繰り広げられ、散々な目に遭った同僚を
目のあたりにしたので、今日はどうか選抜に選ばれないようにと戦々恐々と
しながらの出社だった。
幸い雪は雨に変わり、私が勤務についた時には舗装部分に積雪はなく、
草地に積もっていた雪も、日没までには全て解けて消えていた。先日の
大雪で悪い方に外れた気象庁をはじめとする予報機関が神経質になり、
悪いほうに大きく見積もって予報を出したのかもしれない。
雪はなんとかなったものの、今度は気温が下がって地上霧が出た。
視程は100mもない。今日は雪の予報を見越してほとんどフライトが
なかったからよかったものの、この霧ではもし到着機があっても着陸
できなかっただろう。
雪・霧・風・雷など、飛行機と飛行場は、これだけ科学が発展した現在でも、
相変わらず天気に翻弄される世界である。