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エピソード32「「いつもの様にだまされてアメリカへ-3」

エピソード32「いつもの様にだまされてアメリカへ-3




画廊主のいう「当座のご用立て金」や画廊もちの滞在費、必要経費などを信じてジャンジャン使ったお金は、たちまち、利子つきの巨額前借金に化けた。その不本意の“前借金”を支払うために、ボクは、それから多くのシルクスクリーンを、すべてタダ同然の安値で、汗水たらしてシコシコ制作しなければならないような羽目に陥ったのだった。

 昔の女郎のように。ボクは、口車に乗せられ、きれいなおべべが着られるよ、東京見物ができるよとダマされた、前借金でがんじがらめの、その女郎さんそのもの。実際、由美子は、ロスに来れば、ハリウッドも見物できるよ、なんて勧められたそうだから。


 おまけに、ひどい話で、ボクが、ロスに来る前に、ボクの許可なしに、原画を利用してシルクを刷っちゃたんだな。普通ならそれだけでも犯罪だけど、何しろ、ボクらは、前借金のしがらみで、金縛りになっているから、泣く泣く、画廊が立てたスケジュールにしたがってシャカリキに働かなければならなかった。

 結果として、ボクのシルクスクリーン作品は即時売切れに次ぐ売り切れで、その画廊は思惑通り大成功したわけ。


 だけど、最初の好条件ずくめの約束とはまるで違うので裁判に訴えた。契約の不用意なサインなどの条件にもかかわらず「ホントのことは、うそを付いている事実だけ」というあきれ果てた相手の非を認め、滞在のアパート代負担などの当然の先方の義務を支払うことができた。


 今一番悔しい思いをしているのは、ボクを騙した画廊だろう。その画廊に変わって、新しくボクと紳士契約したロスの画廊(マーティンローレンスギャラリー)は、ボクの個展を開くたびに、開店15分で全作品完売という“伝説”が裏切らなかったため、自家ビルを建てる景気だった。


 そうそう、最初、ロスで、画廊に騙され、金縛りにあったと時、巨額の前借金返済のためには、3ヶ月の滞在では、とても仕事がこなせないと分かり、ボクらは、ひとまずパリに戻った。3ヶ月のロス旅行のつもりで出掛けた、マンションの所帯道具を処分し、友人たちにサヨナラを言うためである。

 せっかくの新居の為に買い整えたばかりの新品家具や道具を、二束三文で売り払うのも、騙されたせいだとショックだった。やっと手に入れた、高級オーディオセットもタダ同然で手放すときはまったく泣けてきた。

 結構ずくめのアメリカ西海岸インヴィテーション旅行変じて、地獄行きとなったイキサツを、送別会に集まった友人に告白すると、みんなは、ボクに同情しながらもこう忠告してくれた。

「ヤマガタ!まったくお前ってやつはお人好しの間抜けだよ。パリに来る時だって、いうなれば、愛していますって女の子に騙されて渡航してきたんだし、今度は、オイシイ話があるっていう画商に騙されてロスに渡航じゃないか。お前は、男にも女にも騙される、世にも間抜けな間抜けだ。二度あることは三度あるっていうから、アメリカではくれぐれも注意しろよ。」