2000円で海外!格安航空の衝撃 | 航空業界ブログ

2000円で海外!格安航空の衝撃

エアラインの旅客運賃が乱気流に巻き込まれ始めた。海外の格安航空会社が日本進出に動く一方、国内航空会社大手は対応に腰が定まらない。『航空運賃に異常あり!』(中央書院刊)を書いた航空アナリストの杉浦一機氏は「格安航空の進出は日本の空旅スタイルを変革するきっかけになりうる」と見る。

 <航空アナリストの杉浦一機氏>格安航空会社でアジア最大手のエア・アジア(マレーシア)が2009年にも日本に進出する(注:エア・アジアは9月18日、2009年に日本路線に参入する意向を表明した。グループ会社で中距離専門のエア・アジアXが就航を予定)。この衝撃はまだ日本では十分理解されていないようだ。


 エア・アジアは、札幌-福岡間の距離に匹敵するクアラルンプール-バンコク間の航空券をわずか1500円で販売している(早期の事前購入の場合)。東京-クアラルンプール間のような国際便では、日本系エアラインとは比べ物にならない破格の安い運賃設定が見込まれる(注:エア・アジアは就航記念として東京-クアラルンプール間を片道約2500円を打ち出す構え)。アジアを席巻している格安航空の波がようやく日本にも押し寄せてくるわけだ。

 時間を惜しむビジネス客は日本系エアラインの直行便を、予算を節約したがる個人旅行客は国際線の乗り継ぎ便を使う時代は近い。欧米やアジアでは格安航空は既に当たり前の存在となっていて、働き方や暮らしの前提に格安航空での行き来が織り込まれつつある。

 航空運賃が世界屈指のレベルに高止まっている日本は、格安航空各社からは「バラの花園」と映っているようだ。羽田拡張や茨城空港開港が予定される2010年以降はエア・アジア以外の日本乗り入れも進む可能性がある。






 消費者の立場から見れば、格安航空参入は悪い話ではない。価格面での選択肢が増えるのはもちろん、「ここまで安くできるのか」というインパクトを利用者にもたらすに違いない。日本系エアラインもそのインパクトからは逃れ得ないはずだ。価格面でけた違いのメリットを享受するようになった消費者がエアライン選びのスタンスを変えないはずはないだろう。

 全日本空輸(ANA)は別ブランドで格安航空会社を設立し、アジア勢に対抗する構えのようだ。うまくいけば2009年にもサービスを始めるだろう。しかし、既存の高コスト体質を引きずったままでは、うまくいかないおそれもある。先行する格安航空会社との合弁事業に切り替えた方が現実的かも知れない。

 一方の日本航空(JAL)は格安航空分野への参入を当面見送り、質の高い商品・サービスにシフトする構えのようだ。この経営戦略は縮小均衡と映る。

 国内線に格安航空がすぐに入ってくる見込みは低いものの、路線が増えていけば、国内での移動でも、いったん海外空港で乗り継ぐ方が安上がりになる可能性すら出てくる。札幌や福岡の間を移動する際に、札幌-ソウル、ソウル-福岡といった風に乗り換えるわけだ。

 国内移動に海外ハブ空港を経由するというのはいささか滑稽な構図だが、価格面では現実味を帯びる。ソウル経由という面倒はあっても、片道 1000~2000円程度というインパクトはただ事ではない。韓国は扇形の路線の広がりを持つので、日本との路線が拡充されていけば、使い勝手は高まるはずだ。

 乗り継ぎを楽しめる人には、海外での乗り継ぎはむしろ旅の発見を広げる機会になりうる。ビジネス客は時間を最優先する傾向があるので、直行便を選ぶだろう。でも、コストを重視する企業では、乗り継ぎ便を選び、出張者は前の日からの出張を押し付けられる羽目になるかも知れない。