斉藤由貴 さんの「AXIA~かなしいことり~」(1985)は、彼女の初めてのアルバムに、そのオリジナルバージョンが収録された曲です。
切ない女心が、シンプルなメロディーに織り込まれている、ささやかな佳曲です。
オリジナルでは、シンセサイザーとオルガンのみのアレンジで構成されていたのですが、それが意外に、この曲の小さな世界観には、雰囲気としては合っていたと思います。
その当時、友人に良い曲といって聞かせたりしていたところ、ある宗教の青年団に所属していた知人から、不倫は許されないとか言われて一蹴されてしまい、なんだか傷ついた記憶が残っています。
今思い返すと、なんて心の狭い人なのだろうかと、感じますけど。
その後まもなく発売された、シングル・バージョンでは、ストリングスのトラックが、後付けで重ねられていますが、もう一つ融合していないような気も。けっして悪くはないのですが。
さらに2008年には、この曲の「 ヴィンテージmix 」という完全リミックスのヴァージョンが制作されました。
ここでは、オリジナルのヴォーカル・トラックが、もはや単なる素材として使用されているだけであり、バック・インストルメンタルを完全に作り直してあります。
このような最近のテクノロジー技術を駆使する、制作手法は好きではないですが、アコースティックな雰囲気は新鮮であり、最も製作コストをかけているのではないでしょうか。
もっとも、それで何かが生き返る、というものではないのですけれど。
この曲の良好な印象はやはり、オリジナル・バージョンの雰囲気と、斉藤由貴さんのその当時の歌唱の素晴らしさによるもの、といってよいでしょう。
斉藤由貴 「 AXIA~かなしいことり~ 」 (1985)
(作詞・作曲: 銀色夏生)
(2010-11-02 19:44:05)