暗黒面も併せ表現する- 中山美穂「Witches」 | Fairy Sounds

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  中山美穂 さんの「Witches」は、恋をめぐって争う女たちがあたかも魔女のように…、というストーリーがテーマになっています。

 

  この前紹介 の「人魚姫」にひき続いて、オリコン最高1位となり、さらにこれで紅白歌合戦にも初出場と、その歌われている内容の暗さに比して、当時の社会にも十分に受け入れられていた曲でした。

 

  その頃はまだアイドル全盛期で、どちらかというと、かわいい雰囲気の女の子が受け入れられていた中で、彼女の提示したこの曲のイメージは、アイドルとしてはかなり過激なものだったといえるでしょう。
  むしろ、このような持ち歌を自分のものとして見事に歌えたのは、他の人にはない彼女ならではの才能があったのだろうと、今になって感じます。
  この頃の彼女の格好良さは、かなりのものだったと思います。

 

  あくまでも一般論ですが、現実に存在している人間であれば、決してきれいでかわいいことのみで生きられるとは限らず、ときには、恐ろしい現実と向き合わなければならないこともあるでしょう。
  きれいごとしか描けないことと同様ですが、その裏返しのように、全体を通して邪悪なことだけを表現して、途中経過や結末のどこにも、解決や救済の可能性さえ提示しないようなストーリーが、様々な分野の作品として、ありますよね。
  そのような作品の作者というものは自己満足的で、非常に貧相で単純な性格の持ち主なのであろうと、あえて断言してしまいます。

 

  物語を構成しようとするとき、まずは明るく美しいものだけでなく、その影として存在する暗黒面を併せて表現しなければ、真実に迫る内容とすることは出来ないでしょう。  さらには、実際に現実として起こる事実と、それを想定した様々な表現活動とは明確に区別する必要があります。
  つまり、現実に起きてはならない反社会的なことであっても、それを含む表現活動については、最大限の自由が与えられなければならないと思うのです。

 

  そのような物語表現が優れたものであれば、それに接することによって、人はその人生を生き抜くための力を得ることが出来るのです。

 

  音楽にも似た構造があると思うのですが、一般的に一つの曲の中で提示できるストーリーとは、わりとシンプルな世界ですよね。
  さらに歌詞がない楽曲の場合、その表現はさらに抽象的なものになります。

 

  なので、例えば中山美穂さんのように素晴らしい方の場合には、いくつかの優れた曲を、その人生を通して表現し続けることにより、その全体の流れそのものを、ある一つの物語のように、私たちに提示してくれているのだと思っています。

  彼女のライブ歌唱はなかなかよくて、CDよりも情感迫るものがあり、背筋がぞくぞくするような魅力を感じます。

 

中山美穂 「 Witches 」 (1988)
 (作詞: 康珍化、作曲: CINDY、編曲: 鳥山雄司)


(2010-03-23 19:10:29)