饗宴のテーブルは、表向きの言葉よりも「本当の外交関係」を物語る事がある。 こう言われるのは、西川恵氏 長崎県出身で毎日新聞に入社後 テヘラン・パリ・ローマの特派員を経験され、現在は専門編集委員をなさっているジャーナリストです。 この「ワインと外交」の他にも「エリゼ宮の食卓」 「国際政治のキーワード」などの著作があります。
仕事で、欧米の料理をサービスしワインも扱う関係でとても興味深く読んだ本です。
本書のまえがきより抜粋しますが
饗宴は、外交の上で重要な道具立てであり その様も時代と共に少しづつ変化を遂げている。 かつては、贅沢な食材が惜しげもなく使われ 豪華絢爛で品数が多い程丁寧なもてなしだったが、第2次世界大戦後は品数の多さで豪華を競う時代ではなくなり 悠長に長時間テーブルに座ってはいられない。 華美よりも洗練、豪華よりもスリム化の流れが定着している。
その後も変化を遂げており、90年代初めより、そのキーワードは「ヘルシィと食の安全」 ヘルシィ嗜好では、バターこってりのイメージのフレンチシェフを解任しヘルシィなカントリー料理を得意とする米国人シェフを起用したホワイトハウス。 食の安全では BSEや鳥インフルエンザが大きなインパクトを与え 多くの国で牛の髄は料理に使われなくなり、野鳥や鴨の料理を控えるようになってきている。
そんな中、この本では 九つの章で様々な国の「外交饗宴」を基に メニューと選ばれたワインを紹介、 準備段階の苦労話などを盛り込み どのような「政治的メッセージ」が組み込まれているのかを 読み解いてあります。
ノルマンディー上陸作戦の60周年を記念して行われる 国家元首、政府代表などのVIPの昼食会、そのメニューと選ばれたワインの年代の意味。 「海の幸」だけが出された独仏首脳会食。 日本では、天皇主催の晩餐会で選ばれた シャトーマルゴーが飲まれなかった訳・・・など
詳しく知りたくなった方、ワインが好きな方はぜひこの本を開いてみられる事をお薦め。 合わせて「エリゼ宮の食卓」も興味深いです。
