退院しても体調は善くならなかった。

なので気分転換にと
お義母さんに実家へ連れて帰ってもらった。
娘も一緒に。

久しぶりに我が家は男2人になった。




嫁ちゃんが帰ってきても
汚いとか臭いとか
言われへんように綺麗にしとかないとチュー


日々の日常を離れ
体調は徐々に善くなっていった。

リフレッシュ出来たのか
ようやく抗がん剤の効果がでたのか
定かではないが。


植物園とかに連れて行ってもらって
大好きな多肉植物に囲まれて
幸せそうだった。

こっちにいた時には
外へ出歩く元気すらなかった。

実家へ行く時も

夜中俺の代わりに
背中を擦ってくれる人はいるのか
嫁ちゃんを見ててくれる人はいるのか

かなり心配で不安だった。


俺に気を使って実家へ行った。

聞いてはいないが
多分そうだろうと今でも思ってる。

前日に見せた涙がそうだと
言ってる気がした。


妻の体調が少しでも善くなるなら
どんな形でもよかった。



妻は最近よく言います。

この頃はホンマに辛かった。
こんなに辛いならもう
無理して生きなくてもいい。
1人じゃ乗り越えられなかった、と。



皆さんに知ってもらいたい。

ガンと闘うっていうのは
こういう事なんだと。

人間は弱い。
1人じゃ乗り越えられない。
家族や周りの人の支えがあって、はじめて
乗り越えられるかもしれない壁なんだと。


妻はまだ完治したわけでも
寛解したわけでもない。


またあの辛くて苦しい日々が
戻ってくるんじゃないかと
脅える日もある。



でも、絶対に善くなる
絶対に俺が治してやる。


苦しんで苦しんだ分だけ
素晴らしい未来が待っている。

俺はそう信じてる。