自己紹介を終え、指定された席についた。
窓際の一番後ろの席。


ホームルームが終わると、私の周りに人が集まってきた。
どうやら、転校生が珍しいらしい。
主に質問は、「どこから来たの?」や「部活何部だった?」
というものだった。私は、それらの質問に丁寧に答えた。
そして、チャイムが鳴りそれぞれ席についていった。


1時間目は、生物の授業だった。
髭を生やしたおじいちゃん先生がでてきて授業を進める。
オタマジャクシの生態について話している。
先生は、教科書のページを言った。
だが、私の手元にはまだ教科書はなかった。


少しして、隣の机が動くのを感じた。
そして、私の机に生物の教科書の左半分が置かれる。
驚いて顔をあげると、「これ見ていいよ」と笑顔でいわれた。
とっさに「ありがとう」と小声でいった。
一瞬しかみていないが、その人はとてもきれいな顔立ちをしていた。


授業が終わり、今度は私も笑顔で彼に「ありがとう」
ということができた。
彼は、「まだない教科書あったら俺のみせるからいってね」
といってくれた。
すると、私の前に座っている短髪の女の子が
「こらこら、将太!さっそくくどいてんじゃないよ」といった。
「いや、そんなつもりないよ。篠田さんが困ってそうだっただけで・・・」
と、いい終える前に、短髪の女の子は私の方を向いて
「私、神崎ちづるっていうの。これからよろしくね」と、笑顔でいった。
「こちらこそ、よこしくね。ちづるちゃん」
「あー、呼び捨てでいいよ。みんなにもちづるって呼ばれてるし」
「あ、じゃあ私も春姫って呼んでほしいな」
「あ!じゃあ、俺も将太って呼んで」


それから、たくさんの人が再び集まってきて
今日中には覚えきれないほどの名前を教えてもらった。
帰り道、夕陽が空をオレンジや桃色に染めていた。
静かな道をちづると将太君と3人で歩いている。