1学期の活動をひきつづき。前回更新のラストで触れた通り、今回は新入生歓迎会でのパフォーマンスを紹介しますが、それに先立って、ちょっとスクール・ダイバーシティの制度的なポジションについてあらためて説明を。
スクール・ダイバーシティは、組織図的にはいわゆる「生徒会」に属していて、だから「生徒会スクール・ダイバーシティ」を名乗ることもあります。何か制度的な背景があった方が活動しやすいだろうということで、発足当初、生徒部主任と相談して、そうしてもらいました。ということで、制度的には生徒会の中に「スクール・ダイバーシティパート」があることになっていますが、「パート」自体がない年度もあるし、そのことに誰も気づかないこともありました。まあ、だから、生徒会との関係は形式的なものなのですが、学校というタイトな組織の中、その漂ってるような感じは悪くないし、おかげで、いろいろ機動力を発揮できるうえに、とにもかくにも「新歓」のような公的な場で、一定の時間ももらえるというわけです。
では、24年度新入生歓迎会のパフォーマンスを。
進行AB:おはようございます。スクール・ダイバーシティです。
A:新1年生の皆さん、入学、おめでとうございます。
B:私たちスクール・ダイバーシティは、年間通して多くの活動を行っていますが、皆さんにとって最も身近な活動は、ほぼ毎週やっている朝礼でのトークではないかと思います。
A:なので、朝礼トークのテーマを通じて、私たちの活動を知ってもらえればと思います。 では、いくつかテーマの例を紹介します。
<舞台の動き>
*いろんなパターンの制服で、7、8人登場
B:たとえば制服。——成蹊には「女子のスラックス」制服はあります。これはスクール・ダイバーシティの提案によってスタートしました。一方、「男子のスカート」制服はありません。スカートをはきたい男子は、「我慢する」ということでいいのでしょうか?
<舞台の動き>
*「女子のスラックス制服」のくだりで、スラックスをはいた女子が前に出てきて、スラックス姿をアピール。
*「男子のスカート制服」のくだりで、スラックス制服の男子が、スカートを持ってて、「はきたいなあ」という感じでスカートを見つめる。
A:そもそも、この学校には本当には、「100%男子」と「100%女子」しかいないのでしょうか。はっきりしない人、どちらでもない人は、いないのでしょうか?
<舞台の動き>
*トーク聞きながらみんな「うーん…」という感じで考えてる様子
B:つまり、スクール・ダイバーシティが考えることのひとつは、決めつけられがちな「女らしさ」「男らしさ」の問題、ジェンダーやLGBTQ+の問題、ということになります。
<舞台の動き>
*クラス写真での座り方!
「はい、男子は足を肩幅に、女子は膝を閉じて手を重ねてくださーい」
B:もちろん、ほかにも「高校生らしさ」はじめ、さまざまな「らしさ」を問題にしていきます。
A:みなさん、舞台下の車イス見えるでしょうか…?
<舞台の動き>
*車イスの生徒を介護者が押してステージ下を進む
<舞台のセリフ>
*舞台上から:「上がっておいでよ!いっしょにやろう!」
*車イス生徒:「OK!…あれ? ちょっと…」
(気持ちは通じてる、でもスロープがないから構造上ムリ! 上がれない! バリア!)
A:というわけで、こういことです。吉祥寺のどこにエレベーターがあるか、どこにスロープがあるか――ほとんどの人は思い出せないのではないでしょうか? でも、それを知らなければ、暮らしていけない人がいるのです。わたしたちは、「校内のバリア」の解消を目指しています。
B:つづいて、多くの人が心配するこれ。「新生活で“ボッチ”にならないために」とか「すぐに友だちを作るために」というアドバイスは、本当にあなたのためになるのでしょうか? ひとりで好きなことに没頭する時間は、不幸な時間でしょうか?
<舞台の動き>
*ひとりと集団という対照。でも両方とも楽しそうで、リスペクトし合ってる感じ
<舞台のセリフ>
*集団側の生徒:「あ、本読んでる? こっちもおもしろいよ? 来る?」
「ひとり」の生徒:「ごめん、今、いいとこなんだよね」
集団側の生徒:「おお! そっか、じゃあまた!」
「ひとり」の生徒:「うん、また!」
A:スクール・ダイバーシティは、ひとりの楽しさ、おもしろさをどんどん発信していくし、あなたの「居場所」になるかもしれない「ここではない、どこか」の可能性を発信していきます。
B:つづいてはこのテーマ。学校ではメイク禁止ですが、「メイクしたい」という声はつねにあります。それは、派手に飾りたい、目立ちたいからでしょうか?
A:むしろ逆で、見た目をジャッジされる社会から、自分の心を守りたい、今の高校生たちはそんな思いを抱えているのではないでしょうか? むしろ「自分受け」のためという感じなのでは?——こんなことを考えて、学校と話し合いを始めようとしています。
<舞台の動き>
*トーク裏トーク:「やっぱ少しでもメイクすると元気出る!」「よし、決まったわ、行こ」
A:私たちは、このような「面倒くさい」テーマについて、毎週朝礼で話しています。ぜひ、耳を傾けてみてくださいね。
B:私たちのミーティングについてもお知らせします。毎週火曜、昼休みに、ダイバーシティ・ランチ・ミーティング通称dunchを行っています。来る理由は何でもいいです。「友達が欲しい」でも、「話を聞いてほしい」でも、「暇つぶし」でもいいし、理由がなくてもいいんですけど、例えば、みんなは?
<舞台のセリフ>
*ひと言ずつ超高速で全員
「居場所!」「ジェンダー!」「らしさ!」「LGBTQ+!」「総合型選抜!」「自分みたいな人探し」…
A:最後になりますが、もしこんな「面倒くさい」ことに興味がわいた人がいたら、今日の帰り道から始められる、ダイバーシティ的なものの見方があります。
B:こちらの画像をご覧ください。Google で「手をつなぐ」と検索して出てきた画像たちです。どうでしょう? これだけでも、ピンときた人はいるかもしれませんが、これ、実はすごく、ダイバーシティなテーマにつながります。
<舞台の動き>
*となりの人と手をつなぐ。すぐにうまくつなげるパターン、なんだかうまくつなげないパターン…。
A:どういうことなのか――については、来週以降、朝礼とTeamsで、答え合わせということにしたいと思いますが、帰り道、街の人たちの「手のつなぎ方」に注目してみてください。きっと、「面倒くさい」ことの意外な面白さに気づいてしまうと思います。
B:どうでしょう、スクールダイバーシティ、少しはイメージできたでしょうか? わたしたちは、これからも誰もが自分らしくいられるような学校、あらゆる意味でバリアのない学校を目指して活動していくつもりです。
全員:よろしくお願いします!
<舞台の動き>
*バラバラだけど楽しそうに解散
と、こんな感じで、それなりに印象付けられたかなとは思っています。少なくとも「なんなんだこの人たちは???」くらいには笑。ではまた。