スクール・ダイバーシティ

スクール・ダイバーシティ

成蹊高校生徒会の1パートとして活動しています。あらゆる多様性に気づく繊細さ、すべての多様性を受け止める寛容さ、疎外や差別とは対極にあるこんな価値観を少しでも広く共有したいと思って活動しています。

 昨年度末から新年度始めにかけて、2つの大きなオンラインイベントに参加させてもらいました。年度末には、本郷高校社会部のお世話になって、本郷高校、三輪田女子高校、N高校とのオンライン交流イベント「ジェンダーフリー社会構想会議」、生徒中心のイベントのはずだったんですけど、担当教員たちもずいぶんしゃべってました。おもしろかったんだと思います笑。そして、新年度4/4には、同じく本郷高校社会部主催で、ほぼ同じメンバーにたくさんの卒業生たちを加えて、まさかの超大物、上野千鶴子先生とのオンライントークセッション「女/男/Xらしさの抑圧を越えて―最大多様性の最大幸福を目指す社会を構想する」―ということで、短い春休みは緊張感あふれる、頭フル回転の春休みになりました。今回の更新では、まず、交流会「ジェンダーフリー社会構想会議」(3/31@zoom)の概要を紹介しておきたいと思います。

 全体会とグループ討論を相互に、というスタイルで、3時間! ごまかしのきかないイベントになったと思います。全体会の流れはこんな感じです。

①「制服選択制導入のコンセプト」(三輪田女子高教頭)
②「スクール・ダイバーシティってなんだ?」(成蹊スクールダイバーシティ:以下、SD)
③「トランスジェンダーとトイレ問題」(本郷高校社会部部員)
④「N高はジェンダーフリー勝ち組って本当ですか?」(N高生)

「①三輪田女子の制服選択制導入のコンセプト」について
 とにかくその選択の幅、ちょっと驚きました。関心のある方は三輪田のHPを見てみるといいかと。その進め方、学校・教員が先回りして新しい価値観を取り入れて、それを、アンケートや投票というアクションの中で生徒たちと共有するという三輪田のやり方、鮮やかだと思いましたし、羨ましくもありました。そして、そのコンセプト「ダイバーシティ&チョイス」もダイバーシティという価値観のツボをおさえつつ、かつキャッチーで、そのまま持って帰ろうと思わせるものがあります。当日は三輪田卒業生2人がそれぞれ本郷と成蹊の教員として参加していましたが、2人は母校の取り組みを聞いて本当に誇らしそうでした。また、三輪田の長い歴史をふまえれば「伝統」が言い訳にならないことも明らかです(「伝統」という論法の無根拠性、その思考停止性については、上野さんも繰り返し強調していました。騙されるな!という感じで)。成蹊にはリベラルな空気こそ一貫して流れてはいますが、とにかくなかなか動かない学校です。SDに出入りするような生徒たち、つまりよろこんでめんどくさいことに首を突っ込んで来るような生徒たちの声に耳を傾けることは成蹊の未来にとって本当に大切なことだと言いたい。

「②スクール・ダイバーシティってなんだ?」について
 言おうとしたことが盛りだくさんすぎて時間的にちょっとムリがあったような。ただ、誰もがくつろげる空間の構成を目指してあれもこれも―というのがSDのスタイルでもあり、まあ、そう考えると、むしろ、らしかったかなとも思います。「スクール・ダイバーシティってなんだ?」が参加者にちゃんと伝わったかは微妙です苦笑。ただ、メディアから取材の話も来ましたから、興味は持ってもらえたかなというところです。

「③トランスジェンダーとトイレ」について
 トランス当事者の方(FtM)も参加してくれて、感想をしゃべってくれました。中高大と苦しんだとのこと。なのでこういった取り組みを高校生がやってるということについてポジティブな可能性を見いだしてくれたみたいです。
さて、この問題、ていねいに見ていく必要があるのはもちろんですが、でも、そこでは、両論併記的なスタンスではなく、ハッキリとトランスジェンダーの視点から解決が目指されるべきかと。トイレ問題や着替え問題を公的空間からトランスジェンダーを排除するための論法にしてはならないと考えるからです。今回のプレゼンは、この点においてもナイスだったと思います。それはわがままではなく、人権であって、社会的インフラとして理解すべきだとあらためて感じました。

「④N高のジェンダーフリー」について
 自由と自主のN高はジェンダーについてもすごく先進的な事例を持ってるんだけど、それでも足りないところがあって―という話。インパクトありました。プレゼン最後にふれたテーマ、自主的で民主的な制度の中で自由に学べるのはナイスだけど、それでも必ず共有しなければならないことっていうのはあって、ジェンダーはそういったことのひとつだっていう話です。N高という学校のあり方を当の生徒を通じて聞いて、そしてじっくりとイメージするという機会も、伝統的なスタイルの学校で過ごす自分たちにとってはたいへん貴重な機会だったと思います。学校について、もっともっといろんなあり方を想像していいのだ、ということだと思います。
 
 で、その後、「男子校、女子校、共学の相互イメージ」について事前アンケート(本郷高校社会部)もふまえて、グループ討論、さらに全体討論ということで、占めて180分のオンライン交流会でした。

 参加した高校生たちがジェンダーについて感じていること、考えていること、その意識やさまざまな取り組みにはポジティヴな可能性を感じました。ジェンダーをめぐる理不尽にすぐにピンとくるし、そうでなかったときでも、指摘されればすぐに理解できる。彼らのやり取りを見ていると、フェミニズムと聞けば肩をすくめて「怖い怖い…」みたいなおじさん的テンプレートは完全に過去のものになるほかないということを実感できます。教員たちは、フラットな意識で平等や公平にアプローチしつつある高校生たちの足を引っ張ってるのはむしろ学校なのでは、という可能性を生徒の発言に読み込んだりしました。教員たちによるふとした日常の中での「らしさ」の強制、「古いあたりまえへ」の引き戻しの事例、「はーい、ラグビー部、机移動よろしく―」みたいなやつや、ルーズな男子を叱るでもなく、むしろ肯定的にいじって笑いを取るみたいなやつです。
「今はどの分野で生きていくにもSDGsの視点を持つのが当たり前の時代になり、生徒たちはむしろそれをごく自然に行なっていて、いつも巻き戻してしまうのは大人であると実感しました。」ということです。
社会に働きかけていこうっていう高校生たちといっしょに考えるのは楽しいし、そんな機会を作り出していくことは本当に大切だと感じると同時に、教員のスタンスとしては、生徒たちのために、というのではなく、生徒たちと共に―というのがあたりかなと。ともに社会に働きかける仲間ということなのだと思います。上野先生とのイベントの振り返りは次回更新であらためて。