第4回高校生オンラインdunch報告  | スクール・ダイバーシティ

スクール・ダイバーシティ

成蹊高校生徒会の1パートとして活動しています。あらゆる多様性に気づく繊細さ、すべての多様性を受け止める寛容さ、疎外や差別とは対極にあるこんな価値観を少しでも広く共有したいと思って活動しています。

 他校生にも参加を呼び掛けた初のオープンオンラインdunchは、SNSを利用して高校生たちによって開催されました。参加者は17名は、普段の倍以上、他校生も4名参加してくれました! これはホント大きいと思います。高校生だけということや、休校中、オンラインといった諸状況がちょうどいい感じにハードルを設定させたのかもしれません。いずれにしても、関心をもってくれてる人は潜在しているのだ―という感触は、なんだかモチベーションにつながります。以下、そのダイジェストと、それに対するちょっとしたコメントなど。

(1)参加者の全般的感想
*新鮮だし刺激もらえた。
*スクール・ダイバーシティってなんだ的な話や、普段の活動の話を共有できた。
*フィルム・ダイバーシティのこと、作品のことなどを共有できた。あの予告編もみんなで観ることができた。
*他校のルールや空気感を聞けたのもナイス。制服に対するスタンスの違いとか。
*他校生からは、成蹊ダイバーシティがやってる、朝礼でのトークとかやってみたいかもという声も。
*コラボイベントやりたい。映画、トークライブなどやってみたい。

(2)制服プロジェクト関連
*某高校は制服はあるけど「一応ある」という感じ。着ない人が多い。
*デニムデーとか学年カラーデーとかもある。
*某高校。とにかくゆるい、グレーの制服のズボンに似たズボン履いてればOK? とか女子は制服のスカートの上にパーカーとか
*成蹊は統一感を求めがち!
*某高校では女子がスラックスを選ぶこともできる!ただ、着る人はかなり少ない。やっぱり「マイノリティ」になるのを怖がってる?

(3)フィルム・ダイバーシティー
 スクール・ダイバーシティは2019-20の冬、映画を制作しました。予告編をその場で共有し、かなり関心を集めたようです。制作発表の紹介はここ。

https://ameblo.jp/sksd14/entry-12563599078.html
*映画は、直接じゃないやりかたで、マイノリティに寛容な"空気作り"に役立つのでは。
*また映画制作やりたい、次は他校生徒との共同制作?
*上映会に関係者以外も呼んでトークライブ的なことはできないか。(これは必ずやります!)

(4)他校生徒からの質問で意見交換
Q:周りにLGBTQの人たちを傷つけるような発言をする人がいたら注意するべきか?「ホモ」とか
そういった蔑視的な発言など。
A:なんとなく普段からセクマイ関連のことを友達との会話の話題に入れてみる!
 :直接注意する
 :本人が気づくような感じで近くの友達におかしいと思うと伝える
 :でもやっぱり注意しにくいというのが現実、注意したら今度は自分が悪口言われるかもとか。
 

 こういう問題についての考え方としては、数年前からこんな論法を用意してあって、いろいろな場で語ってきました。以下は、一昨年、卒業生と担当教員でシンポジウム発表した時のトークです。参考になればと思います。

教員: …例えば学校レベルではこんな発想を共有することが大切だと思う。「“ホモネタ”で盛り上がれないと苦しくて死んじゃうやつはいないけど、ホモネタが飛び交う教室が苦しくて苦しくて死んじゃうやつは世界中にいるっていうこと。」
生徒: 今まで特定のマイノリティに押し付けられてた息苦しさを、少しずつみんなで、気前よくシェアする、っていう発想ですよね。そもそも、息苦しさを少しずつシェアする社会の方が、きっと誰にとっても今より居心地がいいと思うんです。特定のマイノリティに息苦しさを背負わせてる、っていうのは、自分がいつその息苦しさを背負わなくてはならなくなるのかわからないってことでもある。誰もがどこかにマイノリティ性を持っているはずなんだから。(四ノ宮凛・久保田善丈「スクール・ダイバーシティってなんだ?」『成蹊論叢』2019)より)


(5)ダイバーシティーネタ
 興味深かったり、深刻だったり、とにかくこれをきっかけに何かもっと考えたくなるようなネタがつぎつぎ紹介されたみたいです。

 まずはジェンダー関連。トホホな現状が浮かび上がってきます。こういうのを見つけてピンとくるセンスが、現状にくさびを入れると信じます。

① 鬼滅の作者が女性だということがネットが炎上してるって、鬼滅の刃の作者が女性だったということが話題になりましたが、なにが問題?(Yahoo!知恵袋)。いつものことだけど、あ然とするような解答も。もちろんナイスな声もあるけど。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13225291008?fr=smp_line

② うわあ…「秒殺で恋愛対象外にされる女性の特徴」がひどい。こういうのが日常化したミソジニーの典型かと。
https://trilltrill.jp/articles/104982

 もっと言えば、どうやらこういうことみたいです。
<ミソジニストな日本社会的に「好かれる」女性像>
1.見た目は清楚
2.理系はNG
3.ちょいバカが好ましい
4.セクハラ!とか言わない
5.”女子力”常に磨いてる
6.絶対に白い肌にナチュラルメイク(口紅の色が赤や紫とかはNO!)
7.政治はNG
8. 自信持つのはNG
9.意思を持つのもNG

https://twitter.com/kazuuuuuuuus/status/1266055638368448512?s=03

③ 「ハンコ屋さんに実印作りに来たら、旦那様のよりひと回り小さめにとか言われて『何でやねん』ってなったので嫌がらせみたいに一番でかいのにしてきた」―痛快だけどそんなとこで男尊女卑?
https://twitter.com/nekoashi_design/status/1260426977871376384?s=21

④ 「コナン」の昭和なセクハラ容認の空気ヤバい。ありなのか?
https://twitter.com/unico3692/status/1261879257736724480?s=21 ;

⑤ マイナンバー パスワード忘れた時秘密の質問について。
「パスワードを忘れた場合の「秘密の質問」の選択項目で、「母親の旧姓」はあっても「父親の旧姓」はないんだよな。」

https://twitter.com/pluie2450/status/1261622527693975553?s=21
 このツイートへの返信もうわあ…ってなった。これです。
「仕事でこの設問作りました。私は「父親または母親の旧姓は?」の内容で決済出したのですが経営陣の会議で否認されました。「少数派のための設問に、大多数の人の混乱を招く」とかって。…」

⑥ 今のJS、こんなの読んでるの…!?「男の子は褒められるのが好き!」とかマジか? 編集者の皆さんに聞きたい。ホントにこれでいいの?

https://twitter.com/xxx_macaron_xxx/status/1258378246162272256?s=21
 返信のひとつをあげておきます。
「すごく気持ち悪い。 これは一部のオジサンを持てなす為のお仕事スキル。オシャレではない。 これでは、男女ともに、時代遅れの間違った、フェアでないジェンダー観を植え付けられ、コンプレックスだらけの自尊心が低く命令を聞きやすい人間を作り上げてしまう。」

⑦ 「この度、ミスターコンに応募しました! 生物学上女が、ミスターコンに出れるのかは分かりませんが、多様性に溢れるSFCならば私の存在を認めてくれると信じています。」 少なくともこんな気持ちにさせるものがSFCにはあるんだろうね。

https://twitter.com/chibimarukoara1/status/1258354369231155201?s=21

 つづいて、これは教科書ネタです。

⑧ え、未だに?共通点を見つけるのを前提としてしまっている国語の教科書。4年生用だって。何とも言えない息苦しさなんだけど、どうでしょう。

https://twitter.com/pedi_eikoh/status/1261679826332553218?s=21
これってむしろ教員に対する挑戦なのかと思うとまあ、ありかも。この人はこんなことも言ってました。「この教科書でも適切な授業が出来る優秀な教師には何も言いません。」

 次は、外国人ネタ。コロナ禍での排外主義という問題は繰り返し世界的に指摘されるのになんで? といいたい。

⑨ これは衝撃的。こんなあからさまな差別が公的機関の見解って。コロナ困窮学生への現金給付、留学生は上位3割にしか給付されないとのこと。これ、給付は大学が最終的に決めるから、どの大学がどんな判断をしたのかも要チェックでしょ。

https://this.kiji.is/635796561105159265

 最後は映画です、ダイバーシティな作品をふたつ。

*映画「グランドブタペストホテル」

https://movies.yahoo.co.jp/movie/348087/
 たしかに。多様性へのベクトルを感じ取ることができるかも。この作品に限らず、ウェス・アンダーソン監督の作品全般に。

*映画「ものすごくうるさくてありえないほど近い」

https://movies.yahoo.co.jp/movie/348087/
 自閉症スペクトラムの少年を主人公とするアフター「911」の物語。この作品は、これまでもしばしば上映会作品候補として取り上げられてきていて、こうしてまたしても名前が挙がってくるということは、やっぱり何か特別なものを帯びてるのかと。コロナ後、上映会ですかね? 担当教員によるコラムのあるので近いうちに。

ということで、今回も、クオリティと可能性を示した高校生オンラインdunch、まだ回を重ねる予定です。ではまた。