上映会「パレードへようこそ」&パネルディスカッションまで、2週間ということで、定例会でもこの作品について集中的に話す時間を持ちました。今回はとにかく、印象に残ったことを出し合おうという感じです。このあともイベントまでの定例会では同じような機会を設けるつもりです。それとあとは、ダイバーシティ・ネタ。ちなみに、このところの定例会は、高校生、大学生、教員合わせて15~20名くらいで行われています。
「パレードへようこそ」について話そう
*あの組合のリーダー(ダイ)、カッコいい!(複数の声)。誰がどんなであっても受け入れる準備があるような人に見える。ムダに驚いたりしないところがすごくいい!
*あの人の初ゲイ・バーでのスピーチはホントにすばらしい。
http://ameblo.jp/sksd14/entry-12084327208.html
*後半、あのキチンとした、詩が好きなおじいさんがサンドイッチ作りながらゲイをカミングアウトする場面。おばあさんのリアクションもいい感じ。
*あのおじいさんが、ラストのパレードで詩のグループと歩くシーンには「これからだよね」っていう希望を感じる。
*「ダンス教えてくれよ」っていう、炭鉱の村のむっくりした若者たち、ナイスだった。あのシーンの「壁」を越えていく感じよかった。
*やはり、一緒に何かをやる、がんばる、っていうのは一気に距離を詰めると思う。
*あのおばあさんの素朴な質問。「レズビアンは菜食主義なの?」というセリフは印象的。
*彼らのラブシーンを見たときの(ストレート?な)自分の感覚。「抵抗感があった自分にびっくり」「抵抗感がなくてびっくり」。じゃあ、ヘテロのラブシーンを見た自分はどう?どんどんひっくり返して考えてみよう。
http://ameblo.jp/sksd14/entry-12086557785.html
*最後まで徹底的にアンチだったあの女性をどう考えるか。彼女は「ミルク」のダン・ホワイトとも違うようなポジションだと思うんだけど。彼女のそれまでの人生のすべてを否定してしまうことを意味したのかも。こういう人たちを置き去りにするだけでは、それもダイバーシティじゃないような気がする。
http://ameblo.jp/sksd14/entry-11984733379.html
*HIVの問題をどう考えるか。ゲイとHIVの関係についての自分たちの基礎的な知識がかなりあやしい。作品の中では、HIVが不気味に姿をあらわしてきたころの雰囲気から、しっかり治療すればずっと生きていける可能性までを示していたと思う。いずれにしてもここは勉強必要。同性愛についてのネガティブなイメージと絡む問題だし。
*出演者インタビュー見ておもしろくもあり、ショックでもあったこと。彼らは、30年前と現在が「全然違う」と感じている。でも「30年前」を見ているはずの自分はそれを「日本の現在」と感じている。やはり、タイムラグは本当に大きい。
*石川さんに聞きたいことを整理しよう!
「パレードへようこそ」については、だいたいこんな感じだったと思います。時間が限られていたなか、けっこうな数の声が上がったと思います。次回はもう少し考察を深めるような方向で、と考えています。それでは、以下、ダイバーシティ・ネタを。
*「LGBT」をテーマとするTVドラマが連続で登場。「偽装の夫婦」(日本テレビ系放映中)と「トランジットガールズ」(フジテレビ系11/7-)。前者はややステレオタイプ?後者はこれから。いずれにしても「ブーム」な感じがする。「特別な人たち」?「特殊」?「特異」?「フツーでない」?どんなふうに描かれて、どんなふうに受け止められるんだろう。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/22/transit-girls-drama_n_8354078.html
ちなみに、1990年代初にも「ゲイ・ブーム」があって、それについて調べていたところたいへんおもしろい文章を見つけたので紹介しておきます。リアルタイムで当事者が書いた文章です。
http://www.asahi-net.or.jp/~km5t-ootk/taqo_text/toybox1_intro.html
それから、この1990年代のゲイ・ブームですが、きっかけは雑誌『CREA(クレア)』(文藝春秋)の特集「ゲイ・ルネッサンス91」だと言われています。90年代末の「かわいいアジア」ブームも『CREA』発でした。『CREA』は仕掛けてきますね。
*日本では「BL」や「百合」という「分野」が確立しているけど、それは、セクマイに対する寛容とか理解につながっていく可能性として考えられると同時に、その少数性と特異性に惹かれる人たちが作る閉鎖的な世界という感じもする。実際どうなんだろうということで例えば、このあたり。
雑誌『ユリイカ』2014年12月号「特集=百合文化の現在」
*英語の授業で取り上げられた小説。レベッカ・ブラウン「私たちがやったこと」のIとyou。レズビアンの作家ブラウンが描くこの作品のカップルIとyouは英文を読んだだけではなかなかジェンダーが読み取れないという。だから、このペアの組み合わせをどう感じるかは、それを読む誰かの「ジェンダーについてのあたりまえ」が色濃く反映するだろう―という議論。日本語訳は柴田元幸さん。とりあえずyouを男として一気に訳したように見えまるけど、それも人によってはどう見えるか…。そしてそのときのIは???
*米国、セントポールズ高校の「カミングアウトデイ」はちょっとびっくり。今年は教員も含めて15名がみんなの前でカミングアウトして、喝采を浴びたとのこと。少なくとも今の成蹊では考えられないよね。
この情報は、この秋からセントポールズに留学した元成蹊の生徒に教えてもらいました。このスクール・ダイバーシティでいっしょに活動していた生徒です。情報ありがとう、またおもしろい話あったらよろしく!
*アメリカでの生活経験がある生徒によると、ヘテロからヘテロ以外のあらゆるタイプのカップルまで「連続的」にとらえられているという空気あり。ちょうどレインボーのグラデーションみたいな感じで。
*オタクを語ろう的なイベントの準備始めよう。オタク一般か、成蹊のオタクかという設定の仕方も含めて、まずは、冬休みの間に観たり読んだりするものを出せるようにしよう。
先週ヨーロッパから来ていた短期の留学生たちのうち、3人はトランスジェンダーだったということでした。ダイバーシティに価値を見いだすような感性はますます求められていると言えるでしょう。
