目覚めると、そこには人々の喧騒のカオスがあった。


で、遥か下の方から、叫び声のような一定のリズムが聞こえる。



今んとこまだ、気勢を上げてるだけなんだけど。そのうち、占拠しに来る。



えーと、誰が?


自分たちの承認欲求を満たすのに飢えた、

勤労昆虫社会の連中。




目の前の階段と通路を、人々が次々屋上に向かっていくのが見える。



まー、このエリアて、そんなエリアだから、

そのうちなるとは想定してたんだけどね。

けど、あすな の変成完了やれる場所て、ここにしかないから。間に合ってよかった。




えーと、間に合ってるんですか?これ?



間に合っては、ないか。あっちこっちに可動拘束入ってるみたいな状態だろうし。



あー。やったらあっちこっちが連動して動く感じ



だよねそりゃ。ま、着いてからどうにかなるだろうから、行くよ。



えーと、どこに?



ウエストサイド地区。だいぶプリシアタウンに近いんだけど、この地区よりはかなり安全。

本来のフォレスターヒルてさ、そっちの緑園都市エリアにあるし。





部屋から出て、階段を登る。

一歩登るたびに、なんだか脚の付け根の裏部分が限界超えて伸びてる感じ。


こんな感覚のとき、てきっと曲線美みたいなんがパナく外から見えてるんだろなー。



ま、そだよ。その感覚が理解できたら

流線光照射まで、もう少しだから。今、それどこじゃないけど。



そういえば、周辺の人々て、流線光型多いよね?



基本、今 別拠点に向かってるのは堕天使タイプ除いたディフェンダータイプだから。

堕天使待ちタイプのほうが、群衆たちを呼び寄せたとこあるし、そっちが山手フォレスターヒルの支配権、もぎ取りにきたとこも、まああるし。



屋上にのぼってみると

白と黒のゲーム世界のような風景が見えた。


建物を守ろうとする、白っぽい人々と

押しかけては弾き返される、黒っぽい人々。



その背景に、理想的な街の風景が広がっているぶん、人々のカオスが


やけにアンバランスに浮いている。



そんな街の上空に、

ヘリなのか、違う乗り物なのか、いまいちわからない、


地上空両用タイプの飛行体がたくさん飛んでいて


近くにいる白っぽい人々を乗せては

どこかへ飛んでいく。


そのたび、遥か下に見える風景から

白の比率が減っていく。



ここがこうなる、てことは、これから黒の時代

なんだよね。まだまだ先の話だと思ってたんだけど。あの話、て本物だったんだ。



え?


あるタイミングから後の世界が宇宙の歴史から消えている、てのがあって。

その後まっしぐらに黒の時代に向かっていくから、どうも遡ってある現象から後は歴史から消したらしいんだ。そんな風景のトリガーが、

ボード上が白と黒に染まるとき、だったんだよね。





トリガー後は、黒は、黒へ。

白は、白へ。

その変更が効かなくなる。

だから、私たちのようなのが、黒の側に染まった人々を、白に導いてたんだけど。これがトリガーなら、もう、無理



じゃ、やっぱり



そだね。ウエストサイド経由で、白世界に向かわないと。


ウエストサイドには


ここにはない



扉があるんだ。