…こんな場所、あるんだ?


話が終わったあと、

エレベーターを更に上って

最上階の右手にある階段を少し登った場所。


その、階段の左側にある

どこか透明なドア。


そして、その中に広がる


何かの司令部のような空間と

併設してある、幾つかのゲストルームのような


わりと広めのエリア。



…まー、私たち、って通常は超えないラインを越えて変成かけるからさ。あんまり附設センターの他の滞在者の目に触れないほうがいいんだよね。

なんで、うちの変成後習熟は、たいていここになるんだ。



でさ。このエリアて、何のために…


…あー。センターのエリアて、わりとエコノミック生息地帯に囲まれてたりするんだよね。

なんで、エコノミックたちが押し寄せてどうしようもなくなった時は、附設センター自体の機能をウエストサイドにある本部直属センターに退避させる必要かあって。



エコノミックたちが押し寄せる、て?


…あー。さっきの堕天使変成後の個体とかも含むんだけど。

まー、生活レベルとか、待遇とかに不満のあるのがたらふくいるんだよね。

そーいうのがセンター内のさっきのエリアのほうの天使たちの優遇された状況に不満を爆発させたりするから。

それが大きくなると、個体数の関係で

ディフェンダーでは勝ち目がないからさ。



あー。

反政府運動みたいなものか…


…起こることはもっとグロいんだけどね。まー、だいたいそんな感じ。

その退避タイミングの最終司令部機能と、屋上にある空地両用車の発着スポットへの速やかな移動をかけれる場所の両方兼ねたものを置いてあるのが、ここ。

ま、使うことはまずないんだけど。



…で、ここから私たちに連絡するのは、モニターシステムで簡単にできるし、ここで変成完了するまで

変化した新しい自分に慣れてくれたらいいよ。




みづほたちが去ったあと


屋上に登ってみたり

階段を降りてみたり。


屋上からは

自然豊かな白っぽい街並みと

あちこちに広がる小さな緑地が見える。


…こんなとこのどこに、エコノミックがいるんだろ?


まー、どっかにいるんだよね。

それより、ちょい寝るかー。

色々目まぐるしすぎて…



そこからのことは

断片的な記憶がしばらく繋がっていた。


なんらか、運ばれていく自分。


どこかの部屋の中にいる自分。


さっきの白メガネ男子もいた。



何かが貼り付けていくような小さな感覚と

何かを吹きかけられるような感覚。



すべてが断片的で

その記憶の中に、屋上からみた

白っぽい街並みが

常に混ざっているような


そんな風景の記憶が

あって。


そして、そのあとに

また、階段を登ったり

降りたり。


あちこちを動かしてみたり…


…なんだろ?この世界…




…な………あすな! 起きて!


あれ?

みづほ?


…よかった。目覚めてくれて。

変成どこじゃない。


へ?


…来たんだ。


へ?


…来たんだよ。


えーと。

何が?


…エコノミックの群衆たちが。