エレベーター降りたら左右に分かれる通路やら、平行して伸びるもう一本の廊下やら、結構複雑な構造の、エレベーターホール周辺だけ吹き抜けになってるみたいな
なんだか妙なエリアがあって。
で、そんな内部をしばらく歩くと、
もうひとつエレベーターが存在したり。
…あ。こっちのエレベーターには乗らないこと。ガイドウェイ走って異世界に向かうヤツだから。
異世界?
…そ。こっち側のセンターで変成終わったのの大半って、このエレベーター乗って下層宇宙に向かうタイプだったりするんだよね。
…α135エリアでしたっけ?業欲と支配の世界だったような。
…そーそー。そっちの世界向けの変成がほとんどなんだよね。こっちの領域…で、コンパスちゃんってα135に詳しかったっけ?
…まあ、少し。変成タイミングで、あんまり追い詰められかけ昇華流線光使いすぎたら、135に行くから、とか言われたり。
…あー。だから選抜にこだわらないんだー。246エリアのほうがまとも、だから…か。
向こうから、甲高い声で笑う二人連れの女子っぽいのが歩いてきて、
すれ違うタイミングで、
そんな…どこか小悪魔的な生命体が、
更に大きな妙に耳障りな声で笑った。
あれって、こっちと似てるけど、あっきらか違うよね?
…うん。あれが、ディフェンダーの後ろ側にいる堕天使変成待ちな個体。
あ、あれ?
男たちを跪かせてるヤツ?
…α135はもっとヒドイ世界ですよ。自我が肥大した個体たちが互いにエネルギーを吸いとり合う、完全な自己顕示激突世界みたいな。
そんな廊下だか通路だかをしばらく歩くと
ある地点…なんだか売店みたいなのがある場所から歩いてるエリアの雰囲気が変わって
それまでの黒光りするような内装から
銀色っぽい内装と、発光ブルーダイオードぽい世界になった。
…ね?歩いてる個体が明らかに違うよね?
なんだか、女子天使長コスプレぽい二人連れが
透明な表情で歩いてる。
た、たしかに…
…まーね、さっきピエロ野郎に見抜かれたけど、ひとつ間違えたら、私たちて、さっきの135エリアの住人側にいる。
コンパスちゃんも同じだし、たぶん…あすな も同じ。
…だから、あすなさんもα135には…
ダイオードエリアに幾つも並ぶ
ドアのひとつを開けると
サニーピースにいたような、
…だけどまた別の
爽やかなタイプの白メガネ男がいた。
…あー、とりあえずクレインくんからお話は聞いてるんで、出来るだけ早めに終わらせて、変成後習熟に入りましょか?…変成後表皮て、やたらにあちこち密接するんで、慣れるまで大変だと思うし、たぶんずーっと今着てるその流線光ウェア、脱ぎたくなくなるくらい大変だと思うし。
ぬ、脱ぎたくなくなるくらい大変なんですか?
…んー、大変だ、ってみんなだいたい言うかな?あっちこっちが。
ま、ウェアのほうは、そんなにあちこちに密接して、擬似宇宙空間的真空密接作らないように遊びを作ってあるから。
し、真空密接?
や、やだ。
なんとなく、やだ。それ。
…まー、今さら言っても、戻れないよね?
そこは諦めて、プリズンワールドに慣れていただかないと。バーチャルキャラクター三次元体現世界に。