埼玉県の山をかなり入った場所に
波久礼という駅がある。

人生というメインストリートを外れてしまった人々を見守るような、

そんな静かな川沿いに、
古びた駅舎と

かなり古びた駅員さんがいる


そんな小さな駅。


私は2018年に、なぜかそこにいて

不思議な青空を思い出していた。


それは、かなり地元にいた
アマチュアなのか
プロなのか

相当微妙な立ち位置にいる

そんな不思議な青年と


1992年に見た青空。


そんな静かな山の中には
ゴルフ場ならたくさんあったりするわけで

だいたい当時の私は、そんなあちこちのゴルフ場で行われる
ゴルフトーナメントのギャラリー輸送関係のアルバイトもやっていたわけで


きっと、そんな中でも極め付けにギャラリーの少ない関東の大学生関係な大会だった故に

随分長い間、忘れていた青空だった。


そんな
プロなのか
アマチュアなのか

極めて微妙な
また、髪の長さも極めて微妙な

そんなかなり地元な青年と


全くプロにも
アマチュアなまともな活動にも
程遠い立ち位置にいる

私と友人と。


そんな3人が

そんな山の中で語っていた景色。


・●・)  結構この辺て、昔から変わらないんですよね。昔からあるもんがずっとあって。
川-▽-川 まあ、だいたい見てたらわかります…新しい感じの建物があんまり…
・●・) でしょ? 結構ずーっとこんな感じ。
川-▽-川 地元の人て、どこにデートしに行ったりするんすか? 行く場所なさそうw
・●・) ww ないすよw だいたい車でどっか行きますね。地元なら、強いて言うならガストか不二家のパーラーですかね… あんまり誰も行かないけどw
川-▽-川 あ。うちの交野市もそんなもんすよw ガストあるんですか? ガストあるなら…
・●・) あ。大阪にもガストしかない街あるんだw
川-▽-川 不二家がないぶんうちの負け。
・●・) まじすかw 寄居より店のないとこ初めて聞いたw
川-▽-川 ついこないだまでコンビニ規制かかっててコンビニもなかったですからね…
・●・) でもね…


急に青年の顔が変わって
芸術家の目になった。


・●・) そんな何もない街だから、変わらないものが余計輝いて見えたりするんですよね。子供の頃からずっとあるものが、今もずっとある。
僕がこれからどうなるかはわからないけど、きっと僕がどう変わっても、きっと変わらない街の変わらないものは、変わらずあるような気がして。


青年の目が、

時空を超えた遥か未来を見ていた。


私には

その青年が見ている景色の写真のようなイメージに、

次々と西暦年数が

カレンダーのように数字を増やしていっているような


そんな不思議な風景が見えた。


そして、青年が見ている風景が

たくさんの人々を巻き込んでいくのも、見えた。


とても。
幸せな
不思議な風景。


青年は、一日だけ
日曜日を活かしてスタジオ代だったかなにかを生み出しにきた青年なわけで


なぜそんな青年から

そんな風景が広がっていったかはわからない。


だけども、それが

私と
青年との

違い。


それだけは理解できる。


一日が終わって

青年は地元へ帰り

私は友人と大阪へ帰る。


どちらも、ガストだけが夜、輝いている街。


それは

アイスクリームパーラーと
ファミリーレストランの見せた


夢の景色なのかもしれない。