コロナ禍において低金利で推移していたドミニカ共和国の

中央銀行の金利が今年に入りジワジワと上がってきています。

来月は8%を突破しそうな気配です。

 

コロナ禍ではドミニカ共和国の市場の銀行資金もキャッシュがだぶつき

気味でありここ数年、2008年以降の金融危機以上の低金利が

続いていたというのがドミニカ共和国の金融市場の現状であり、

どのドミニカ企業も比較的資金の余裕がありました。

 

 

 

ドミニカ企業の資金が比較的余裕がある状況が続いている、

ドミニカ共和国の中央銀行のマネタリーベースの動きを

見ているとその理由は明白であり、資金が市中で行き場を失い

ダブついているのがわかります。ここ1、2年は様々な

ドミニカの銀行から「クレジットカード作りませんか」という

電話がありますがこれも背景に銀行がより多くの民間企業や

民間人に資金を貸し付けたいという流れがあります。

昨年などは企業への貸し付けの中では年利で5%とか

新興国ではちょっと考えれないぐらいの低金利で貸し付けする

商業ファイナンスのオファーも一部出てきていました。

 

多くのドミニカ共和国の輸入企業も事業は好調であり、

その背景にあったのがドミニカの中央銀行が金融緩和を

続けていたからであり、自分がじっくり

市場を観察していても「多くのドミニカ企業がファイナンスされた

資金をまだ結構持っているな」という状況が続いています。

(ただ「自己資金」ではなくあくまで「ファイナンス資金」

です。この違いは重要)

 

最近になりドミニカの民間銀行のCD(Certificated deposit 

=譲渡性預金)の金利が上がるというニュースをしていました。

CDは譲渡性預金で6ヶ月や

1年などの短期の固定金利における定期みたいなイメージと

いえば分かりやすいでしょうか。(ただ譲渡性の名の通り

市場で売買が可能で担保にもできます)

そしてCDの動きは近い将来の経済予測を

比較的しやすい、新興国における体温計みたいな役割をしています。

つまりCDの6ヶ月の金利が上がるというのは短期的なドミニカ

市場の金利が上昇局面に入り金融引き締めが行われることを

意味しています。そしてそれは景気にも影響してくるのです。

 

20代の頃、お世話になっていた日系企業では客先への

販売で商品が売れないケースでよく周囲の人たちの日々の

上司や社長への営業レポートなどを観察していると

「客が景気が悪くて売れないと言っている」という

報告がとても頻繁にありました。

 

ただ自分がドミニカ共和国に来て自分で動いてみて

分かったのが「ドミニカ企業の景気話は真に受けてはいけない」

という結論でした。

売れるには理由があり、売れない場合にも明確な理由が

あるものです。それを客観的に理解せずに景気の責任に

するのはとても’危険な発想なのです。

ドミニカ企業の多くはその理由を自分たちからは正確に

伝えてはくれないもので結果として「景気の責任」という

フワッとした理由になってしまうのです。

(ドミニカ企業のマネージャークラスの担当者も何で売れているのか

とか何で売れてないのかとか分かっていない人も多い)

ドミニカ共和国、というよりこれは中南米市場全体の傾向

ですがラテン人の気質としてネガティブな理由を嫌う傾向が

強く、結果としてビジネスの具体的なネガティブな理由を

なかなか話してくれませんし

あと、面白いもので客先に景気を聞いて「景気がいいよ」

と答える人は一度も見たことはありません。それぐらい

「一個人の景気の感想話」はあてにならないのです。

 

何か景気や経済の話をしたいのであればドミニカ企業の言う

ことを聞くよりも上記のプライマリーバランスやマネタリーベース

の’動き、CDの動きを見ていた方がより正確で客観的な

市場の動きが理解しやすいのです。

 

また景気が良くても悪くてもドミニカ企業は何かをして生き残る

必要が出てきます。大きな問題がありビジネスが止まった場合、

何もしなければ倒産してしまいますし、家族を食べさせることも

できません。そのため市中に出たビジネス資金というのは

水が上流から下流に流れるように必ずどこかに向かい

流れていくものです。その流れは全体的にどこに向かうのか、

その理由は何かを考えることが市場全体を見る上では

よほど重要なのです。