三谷幸喜作品で映画『笑の大学』(WOWOWにて放送)を観ました。映画
としては2004年製作ですが、元々は1994年にラジオドラマとしてNHK-FM
で放送されたようです。時を同じくして三谷氏の作品に舞台版『ラジオの時間』
(1993年)があります。こちらも映画版『ラヂオの時間』(1997年)のほうが
お馴染みですが、原型は舞台作品です。
さて、この二作品には大きな共通点があります。それは「脚本」というもの
をモチーフに置き、「書き手」を主人公とし、その作品が「第三者によってど
んどん改訂される」という、ストーリー検討より前段にある『ドラマ組み立て
における骨格』の部分です。表面的なテーマ(モチーフ)が「笑い」と「ラジ
オドラマ」であるのに対し、共通点であげたものは、また別のところにあるテ
ーマで「書き手の葛藤の世界」といっても過言ではないでしょう。
三谷氏が世の中に注目され始めたこの時期(1993~1994年)、自身にどれほ
どの意識があったか知るよしもありませんが、「書き手の存在」にスポットを
当てる拘りと、全く別の形で魅せるお手並みには……感銘しました。
──まさに「一粒で二度おいしい」の世界といえます!