「会社に来る途中で根性落としたけえね」
陽差しも暑さを感じるようになった今朝のこと。脱げばいいものを、カーデ
ィガンを羽織ったまま歩いてきたまっちゃんが、オフィスに辿り着くなりのぼ
せた表情で第一声を吐き出した。どうやらまっちゃんは、今日の労働エネルギ
ーを通勤に使い果たしたようだ。
口を半開きにして、犬のようにハーハーいってるうちに始業のチャイムが鳴
った。ヘロヘロのまま仕事についたまっちゃんが、隣の席のカラダくんと何か
を話している。リストを出力するプリンターのことだろうか……。
「あっちィ出すけえ」
まっちゃんの声が耳に飛び込んだ。たぶんそんな言葉だと思うが、私の脳ミ
ソはまったく違う言葉に変換したようだ。
「ハッピーバスデー? 誰が誕生日なん」
すかさず聞こえるように返した。エネルギーゼロのまっちゃんは、薄い笑い
を浮かべながら顔をあげた。
──ヨッシャー、食いついた。
そのあとも調子に乗った私は、ひんしゅくを承知のうえでボケ攻撃を連発し
た。真面目に働くカラダくんの腰は折ったようだが、まっちゃは次第に笑顔を
取り戻してくれた。
──まっちゃん、今日も元気で労働にいそしみましょう!