ライブに来んさい (第12節) | 交心空間

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◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇

 ライブに新サークル発足に同窓会と、修の活動は飽和状態になっていた。疲
れはあるものの、何とか乗り切ろうと頑張っている。
 その姿をテレビ局のカメラが追う。ところがその歪みとして、酒屋の仕事が
疎かになったり、打合せや打ち上げなどで深夜の帰宅となり家族は大迷惑だ。
家庭の取材に来た松岡の前で、また大黒柱振りを演じる修だが、これに家族が
反発する。堰(せき)を切ったように本音が飛び出し、修の音楽活動など無関
心で応援などあろうはずもない。特にここ最近は、仕事や家族そっちのけで動
き回る修に不平不満を浴びせる。
 家族の不調和を目の当たりにした松井はガックリする。外ではいろいろな弊
害があるものの、それを支える家族の姿を望んでいた松井だが、これでは番組
にならないと嘆く。


                             《つづく》


*----------* ポイント解説 *----------*


1.バリバリ活動し格好いい修と、「人気者」という肩書きに踊らされる修を
  対比させながら、滑稽に描いていきます。その果てに訪れるのが、家族の
  不満です。
2.世の中いいことばかりではありません。影の部分も織り交ぜることで、そ
  れぞれの本心に迫ります。
3.番組を企画した松井も、思わぬ展開に呆然です。隠し意図として「ドキュ
  メンタリーとは何か」も伝えたいものです。しかし、これを描きすぎると
  ドラマは脱線します。端的に描くよう心がけるのがポイントです。