6月6日アメノウズメ様の
6月6日は…岩戸の中で引き籠っていた太陽神:天照大御神を再び外に出すきっかけを創った智慧の女神:アメノウズメ様を祝う記念日です。
また6月6日は,アメノウズメ様と猿田彦神が天上でおいになる日とも言われています。
6月6日アメノウズメ様の恩寵にあやかりましょう♪

➊アメノウズメ様とは?…
「岩戸開き」等の日本神話に出てくる天津神の女神様で,「踊り&いで世界った奇跡神様」です。
㈠神話の中でも刺激的な内容が多く,日本の女神の中でも有名な存在です。
㈡芸能の神・芸術(技芸)の神・舞楽(神楽・踊り)の神・俳優の神・鎮魂の神・福の神とされています。
日本最古の踊り子で,神楽俳優といった日本芸能の祖神とされます。(=獅子座的要素)
特に芸能の神として,芸能人が参拝に訪れる神社も多くあります。
㊁神々と交信する巫女的な性格を備え,宮廷祭祀に関わる猿女君(サルメノキミ)の祖ともされます。(=双子座的要素)
鎮魂(タマシヅメ)は『古語拾遺』では,彼女から出たものとされています。
㈢同時に深い智恵も備えていて,たくさんの神々をサポートしてきました。(=双子座的要素)
㈣彼女が祀られている神社は…技芸(舞踊・ダンス)上達,縁結び,夫婦円満・和合,交通安全,五穀豊穣等のご利益があるとされます。

②神名の「ウズメ」の意味は?
「ウズメ」の解釈には…諸説ありますが,有力なものには…下記があります。
⑴「強女(オズメ)」の意とする『古語拾遺』説
「ウズ」とは,神事の際に頭に挿す枝葉や花を意味する「挿頭(カザシ)」からきているという説

枝葉や花は…神霊を招き宿らせる一種の寄り代の機能を持つ物と考えられ,そこから,ウズメとは「神事における特別な役割をする髪飾りを挿した女性」を指すことになり,それに該当するのが神に奉仕する巫女です。
⑶鈿(ウズ)はかんざしの意味があり,『日本書紀』の表記通りとする説
③アメノウズメ様の別称は?
古事記…天宇受売命(アメノウズメノミコト)
日本書紀…天鈿女命(アメノウズメノミコト)
別称…猿女君(サルメノキミ),大宮(能)売神(オオミヤノメノカミ),宮比(ミヤビノ)神,鈿女(ウズメノ)命,名婦殿(ナフドノ),おかめ様,おたふく様

※お面等でお馴染みの「おかめ」の起源は「アメノウズメ様」とされ,それほど美人でないものの人気があり,縁起がいい物とされています。


➋アメノウズメ様が登場する神話での記述
①岩戸開き…踊り&笑いで世界を救う!
⑴アメノウズメ様の物語で一番有名なものが「岩戸隠れの段」のお話です。
これは太陽神:天照大御神が弟神:スサノオノミコトの暴虐武人な振る舞いに心を痛め,天の岩戸にお隠れになってしまうところから始まります。
これにより,日の光を失った世界は闇に包まれ,怨霊が沸き立ち始めるのです。
その時,八百万の神々は大いに困り,天の安河の川原に集まって会議をし,知恵の神:思金神の発案により,岩戸の前で様々な儀式を行いました。
この役目を担ったのが,技芸の女神:アメノウズメ様だったのです。
「別の太陽神が現れ,世界に光が戻った」と思わせるために,彼女は,岩戸の前で宴会を開いてもらい,賑やかな様子を天照大御神に聞かせます。
㈠この宴会の場で,彼女は,桶を並べて,踏み鳴らし,着ていたものを脱ぎ,半裸状態で,神懸りの(トランス)状態で,じ,いました

彼女は,体に日陰の(ツル)をかけ,頭にはまさきの(クズ)をかぶって笹葉(千草を巻いた矛『日本書紀』)を振りながら,
「槽伏(ウケフ)せて踏み轟こし,神懸かりして,胸乳かきいで裳緒(もひも)を陰(ホト=女陰)に押し垂れき。」『古事記』
つまり, 彼女がうつぶせにした槽(ウケ:特殊な桶)の上に乗り,背をそり,胸乳をあらわにし,裳の紐を女陰まで押したれて,低く腰を落して足を踏みとどろかし,力強く,エロティックな動作で,って,八百万の神々を大笑させました。(笑いが邪気を祓います。)
その「笑ひえらぐ」様を不審に思い,戸を少し開けた天照御大神に「あなたより尊い神が生まれた」と彼女は言って,天手力男神に引き出して貰って,世界に再び光が戻りました

『日本書紀』にも似た記述でありますが,胸乳の記述は無く,女陰については「火処(ホトコロ)焼き」と記され,神々の反応は記されていません。

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彼女の桶をふせて,その上に乗って踏み鳴らすという所作は,空洞の器を振動させ,活性化させることで,そこに魂を呼び込む意味を持つと云われています。

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全面的き,エクスタシーの中にきるのに,安全はいらないびをもって危険け入れなさい
そして,それを受け入れた時,あなたはその独特な美しさを知ることだろう。」
宗教は,いがなければ死ぬ
宗教が生きるのは,徹底した笑い,激しく,強いがあり,そのいがすべての細胞の中でり,あなたの存在のすべてに振動を与えるようになった時だけだ。
そして,いが自分より大きな何かになり,自分はその中の小さなひとつのものになる。」(by Osho)

㈡日本芸能の祖神
㊀「神楽舞」の始まり

彼女が踊った舞が,後の「神に捧げる(=神前で奉じる)舞」である「神楽(カグラ)舞」の始まり(原型)と云われています。
神楽の語源は…「神座(神が宿る場)」であるといわれ,神を招き,降臨してきた神を歓迎し,祝福するために,神座において,踊りを捧げることを意味します。
同時に神楽には,神の心を楽しませ,和らげる「神遊び」という意味も含まれているそうです。
そこから派生して,日本の様々な芸能が生まれたことから,彼女は「日本芸能の祖神」とされています。
俳優のルーツ

また,『古事記』や「『日本書紀』に「俳優なして」と記されていることから,「俳優のルーツ」とも云われています。
「わざ」とは…「神のわざ(所作・行為・技)」のことで,「神が乗り移ったような振る舞い」を指します。
その振る舞い(所作)には,彼女が卑猥な演技神々を笑わせたように,古くから道化,滑稽というものが,その中心的な要素として含まれています。
さらに「おぎ」「招く」という意味で,つまり「俳優」とは,神霊を招いて,面白おかしく振る舞いを演じ,なぐさめ,楽しませることをいいます。
㊂技芸全般の神

彼女は元来,神事芸能の祖神ですが,あらゆる神々をも魅了する踊りの力が,芸能・技芸一般に当てはめられ,舞楽の神,歌舞伎等の演劇の神,俳優の神,その他技芸全般の神として信仰されています。
㈢宗教上の儀式としての[性的行為]
宗教上の儀式として,[性的行為]をすることは,古来から世界各地で例があり,その多くが,性的儀式によって,神と人とを和合させたり神をなだめたりといった,日本神話で描かれるアメノウズメ様のような役割を負っています。
ヨーロッパの神話伝承やフォークロアに詳しい中世フランス文学の専門家のフィリップ・ヴァルテール氏は…
ケルト世界のかなり古い神話的存在で,慣例で,シーラ・ナ・ギグと呼ばれている存在は,これについての文字資料は皆無であるが,創造と破壊の女神として紹介されることが多いが,アメノウズメと同じような猥褻な動作をしている」と指摘しています。
⑵楽しく踊ったことで芸能の女神と呼ばれることも多いですけど,実は「知性の女神」でもあります。
⑶天岩戸の前での活躍の後,彼女は天照大御神の側近として奉仕し,その心を慰める役目を果たしました。

②天孫降臨の随伴中に,猿田彦神と出会う
⑴これは天照大御神の命により,「大国主命」から「ニニギ命」へ葦原中津国(今の日本)の統治を譲り受ける「天孫降臨」の物語です。
アメノウズメ様は天児屋(アメノコヤネ)命,布刀玉(フトダマ)命,玉祖(タマノオヤ)命,伊斯許理度売(イシコリドメ)命と共に,五伴緒の一柱としてニニギ命に随伴して,天降りしました。
天孫降臨の際,その途中の天八衢(アマノヤチマタ)で,高天原から葦原中国までを照らす神(=猿田彦神)がニニギ命一行の行く手を阻みました。
この者は,目が爛々と輝き,鼻が異様に長く,顔は真っ赤,その背丈は2mはある異様な格好でした。
(その姿に,力自慢の天手力男神は物おじしてしまったそうです。)
ニニギ命はこの者が天孫降臨の邪魔をする者と考え,天照大御神に報告します。
天照大御神と高木神に,「アメノウズメは手弱女だが,顔を合わせても,気後れしない(面勝つ)から,あなたがこの大男の真意を問いなさい」と言われました。
そして,アメノウズメ様は猿田彦の気持ちをほぐすために,「その胸乳をあらわにかきいでて,裳帯(モヒモ)を臍(ホソ=ヘソ)の下におしたれて,あざわらひて向きて立つ。」 『日本書紀』
つまり,乳房をあらわにし,裳の紐を臍の下まで押したれて(半裸状態になり,相手に正体を明らかにさせ),あざわらいながら,猿田彦に向かって言いました。
名を問い質すと,その男は面食らいながらも,「国津神の猿田彦」と名乗り,「ニニギ命の道案内をするために迎えに来た」と言いました。
これによりニニギ命は猿田彦神の先導で,無事に葦原中津国の高千穂と言われる場所に降り立つことができたのです。

③ナマコ
ましたが,葦原中津国にはお付きできていますので,こちらの仕事も忘れてはいません。
アメノウズメ様は,猿田彦神結婚し,ニニギ命の命で,「猿田彦神」を送って,志摩国に辿り着きました。

すると,大小の魚を集めて,「天孫(ニニギ命)に仕えるか?」と聞きました。
魚達は「お仕えします」と答えましたが,ナマコは何も答えませんでした。
怒った彼女は,ナマコの口を小刀で裂いてしまいました
それで今に至るまで,ナマコの口は避けているのです。
しかし,ナマコの口は裂けているようには見えないので,これはオオサンショウウオのことではないかという説もあります。
彼女の功績により,代々の天皇は志摩国から初物の供え物(新鮮な海産物」が献上される時は,猿女君に与えるようになりました。

➌猿田彦神結婚し,猿女君
①猿女君祖神
ニニギ命はアメノウズメ様に「私を先導した猿田彦神は,その正体を明かしたお前が送ってやれ。そしてお前はその神の名を継いで仕え奉るのだ。」と言いました。
彼女は猿田彦神と宮崎県高千穂(荒立神社)で結婚し,その後,彼の故郷:伊勢国に住み,「猿女(サルメ)と呼ばれるようになりました。
そして,彼女は宮廷祭祀(鎮魂祭や大嘗祭等)に関わる猿女君(サルメノキミ)の祖神となります。
宮中祭祀で神楽舞を行う女官(神祇官)の猿女君は,彼女の子孫とされ,大和朝廷にはこの天孫降臨の際に随伴した神々の子孫とされる血族が重要な役割を担っていたとされています。
猿は「戯曲」等で使う「戯(サ)る」に通じ,「猿女」という呼び名は,特に「宮廷の祭祀の時に,滑稽な俳優を演じる集団につけられてもの」です。
また,天岩戸神話は「鎮魂祭(チンコンサイ)の起源を語るものとも考えられています。

「岩戸隠れ」は…日蝕の神格化説と太陽が最も弱っている冬至の神格化説があります。

神々と交信する巫女祖先!
「鎮魂祭」とは…旧暦の11/22(冬至頃)新嘗祭の先日に行われる祭儀で,「太陽の活力の再生(復活)天皇の遊離した魂を取り戻すことによって,世の中の平安を祈願する儀式」です。
天岩戸の前で神懸りした踊りで,天照大御神の関心を開き,心を開かせ,活力を取り戻させます。
その際に大神と会話を交わすアメノウズメ様の姿は,シャーマン(巫女)恍惚状態になって,神と交信する様子を映したものと考えられます。
神事において,神懸りして,神と同一化したり,神の言葉を交わす役目をする女性「巫女」です。
アメノウズメの原像と考えられる伊勢を本拠地とした猿女一族は,シャーマニスティックな女性が中心の特殊な霊能力者集団だったようで,彼女達は,神懸かりして,非常に熱狂的で,官能的な踊りによって,神々を喜ばせ,豊壌を祈り,神々の託宣を聞くという呪力を駆使したとされています。
アメノウズメとは‥「神と笑ひゑらぐ」独特な祭祀祈祷を行い,「神を降臨させる超能力を持つ巫女集団の霊的パワーの神格化」とも考えられています。
この猿女君は神楽舞を舞い,神々との関わりも大きく,その成り立ちから現代に続く「巫女祖先」とも言われています。

③猿田彦神アメノウズメ様の役割は?
猿田彦神は…天と地の境界線に現れ,天孫降臨の先導役として,高天原(天)と葦原中国(地)を「繋役割をしました。
そして,伊勢の阿邪訶(アザカ)で,漁をしている時,比良夫貝(ヒラブガイ)に足を挟まれて,海に沈んでしまい黄泉の国へと一旦は旅立ちましたが,この時,猿田彦神は偉大な力で黄泉の国より舞い戻り,同時に現世で息を吹き返し(=「黄泉(甦(よみがえ))」,黄泉の国(天)と現世(地)を繋ぎ,また,海(アマ=天)地上繋げました
つまり,猿田彦神は天と地を繋ぐ重要な神様なのです。
⑵一方,アメノウズメ様は…閉じている物や塞がっている物を「開役割」をしました。
「天岩戸開の神事でも,天照大御神に岩を開かせるために重要な働きをしました。
天孫降臨の時も,天八衢で,行く手を阻む?猿田彦神の気持ちをほぐし,名前等を聞き出す大役を果たしました。
そして,彼女は,ニニギ命に仕える者として,従わず,返事をしなかったナマコの口を裂きました
⑶つまり,二人の「繋ぐ能力」と「開く能力」の連動によって,天孫降臨が成就したのです。

 

⑵へ続く