馬の鈴草栽培記録 2018年~2023年

 さいたま市笹目川は荒川の支流1級河川 

 2015年から観察、 

 笹目川の上流は右岸はコンクリート護岸、左岸は河川から幅およそ20m弱の河川敷。

 笹目川の馬の鈴草の自生地は川沿い長さ30m、河川敷、幅15mに自生している。

  2018年

 中曽根橋、馬の鈴草自生地の異変

 馬の鈴草自生地の異変に気付いたのは2018年9月である。

 自生地一面に葛葉が覆い、他の植物の姿がのぞめない、植物の光合成が失われ植物の成長が妨げられている。

 馬の鈴草も御多分に漏れず、葛葉の下で上からは望むことさえたがわず。

 自宅に戻り鎌と鋸、スコップを持ち、葛の蔦を切り、茎の根本を掘り下げ、途中で鋸で切断、葛葉を排除して植物の陽ざしが受けられることを確認し作業を終える。10月始旬の河川敷草刈前に10株の根を持帰り増殖を試みる。

 2019年

 昨年秋に鉢植えした馬の鈴草を掘起し、根分けして一部を自生地の天端とコンクリート土留めの角付近に一列に10株ほど植る。

 鈴草の根の長いものは自宅に残し、根伏せで株を増やすことをも試みる。

 2020年

 自生地では昨年秋に植えた馬の鈴草の発芽が見られるようになり、4月20日から毎日のように自生地に出掛け、

 成長を阻害する植物の排除を目的にこれ迄の天端の草刈ではなく、根から掘起す作業をひと月ほど続け、同時にペットボトルに

水を入れ水撒きも怠らない。

 自宅の鉢植えの馬の鈴草は秋冬に入り、昨年秋に残した根も太くなり、脇根も出て昨年の倍ほど自生地に移植に成功。

 河川敷の一部とはいえ、管理事務所に許可を頂いてから行うべきで、わかっていても無断で行っておこなっている。

 11月末に天端と金網柵に30本ほど自宅から若芽を移植。

 2021年

 河川敷法面の馬の鈴草の発芽が数年前から減り続け1/3程になっている、原因は解らない。

 そんな中で天端の隅に移植した馬の鈴草の発芽は50本を数えられ、天端には影響は出ていない。

 また、30m程の距離の金網(安全柵)の下にも移植する。

 馬の鈴草の発芽に合わせ、天端の除草は業者が行う6月末まで続ける。

 11月末に天端に20本ほどの1年育てた根を移植。

 2022年

 3年前の自宅で育てた馬の鈴草を昨年の晩秋に移植して順調に育っているが、

 自生地の馬の鈴草の発芽は年々少なくなり、春にはセイバンモロコシなどの地下茎を排除しているが、良くはならない。

 夏季前の草刈後の馬の鈴草の成長も遅く、他の野草の成長に負けている。

 11月末に天端と金網柵に自宅で育てた、根差しの株、15本ずつ移植。

 2023年 

 4月の発芽の時期から天端と金網柵下に移植した苗の成長ばかり気になっている。

 馬の鈴草の自生地、河川敷法面ではカラスムギが自生地を支配し、馬の鈴草の成長を妨げ、

 6月に入るとカラスムギが枯れ、馬の鈴草に覆いかぶさり、俯瞰しても馬の鈴草を確認することができず。

 6月22日の河川敷の草刈後、ほとんど発芽が見られず。

 河川敷ばかり気になっていたが、30m程の距離の狭い幅の金網柵下の10m程がヒメシバに占領され

 7割ほどが発芽が出来ない状態に陥っていた。

 

 馬の鈴草とジャコウアゲハの相対関係

 あるホームページの「修士論文」に 

 「ジャコウアゲハの個体数の激減は草刈の時期の問題、葛などの早目に刈取り繁殖させない」と書かれている。  

   ホームページを眺めると数多く馬の鈴草とジャコウアゲハの相対関係で、草刈の時期の重要性を唱えているが、

 ここ笹目川の自生地のような狭い場所(縦30m横15m)で植生している植物には当てはまるとは思えない。

 草刈の時期云々はジャコウアゲハが活動する前の4月下旬から、活動が終わる10月中旬以降の草刈は理にかなっているが、

 市民の中には年2度の草刈を3度にしてほしいと要望も出ているところで、草刈の時期の選択に無理がある。 

 そんなわけで、馬の鈴草のとジャコウアゲハの相対関係を調べ出した。

 これ迄の6年間の記録で笹目川の業者の草刈は初夏は7月前後、秋は10月に入ってからとなっている。

 最初に自生地(笹目川の自生地)の越冬蛹の羽化の時期は4月22日から5月10日頃になっている。

 産卵は5月1日前後、この時期の産卵から羽化まで40日から45日。6月10頃には2世代の産卵が始まり出している。

 自宅で1世代後期4頭飼育 5/25日産卵 6/1日孵化 6/23日蛹 7/4日羽化 産卵から羽化まで41日から45日。

 この数値を見てもわかるように笹目川の幼虫は、草刈時期は河川敷の生育地から離れ、

 橋の桁や金網柵、街路樹などで蛹になっているので、7月前後の草刈には影響はしない。

 ジャコウアゲハの産卵は1頭、5個、10個が普通なのだが、草刈後の産卵は1個ないし2個と減らしているように見えるが

 食草の状況を考慮して産卵しているようだ。

 これまで何年もこの状況でジャコウアゲハの生息する頭数の上下することはあったかも知れないが、

 草刈後の自生地で食草不足でジャコウアゲハにおおきな影響を与えたとは思えないが、念のため、

  草刈後の自生地の馬の鈴草の成長の間、食草を如何にするか考え出したのが、

 景観に対する責任は負わなくてはならないが、天端とコンクリート土留めの片隅に約25m、一列に食草を植える事である。

「ウマノスズクサ育友会」HPに馬の鈴草を食草にする生物として、ハダニ、ヨトウムシ、シャクトリムシ、ナメクジ、コガネムシの幼虫などが記入あり、その他、多くのホームページを参考に自宅で鉢植えで育成を始め、何とか問題の解決になった。

 

 秋の草刈はこれ迄の記録から10月1日から26日までの間に行われており。

 これ迄の記録から8月後半からの産卵は草刈時期には大半が越冬蛹になっており、

 9月過ぎての産卵は翌年の羽化率が下がり、

 自宅で飼育記録で9月12日の産卵の翌年の羽化率は50%、10月1日産卵はすべて蛹にならず、羽化もない。

 この数値から見ても10月の草刈はジャコウアゲハには影響を及ばない。

 また、馬の鈴草の成長を脅かす植物としてカラスムギ、赤(白)詰め草、スギナ、メヒシバなど、

  群生になる前に除草が必要と思われる。オギなどの成長の早い植物は馬の鈴草の絡み付きに多少必要とされる。

 笹目川の野草の遷移の時間は短く、セイダカアワダチソウやセイバンモロコシが勢力を維持していたが、翌年には葦の隅に追い  

 やられている。また、下流からはオオブタクサ、オオオナモミ、イタドリがじわじわと上流の馬の鈴草自生地に近ついている。

   

 ホームページに「ジャコウアゲハの天敵」でH.P.を開と「蝶と日常・自然観察日記」に「ジャコウアゲハはウマノスズクサのアルカロイドを体内に蓄積し、天敵から守ようなことになっているが、それは一部の動物だけであって、

肉食の昆虫、爬虫類、両生類などは全く問題なく捕食してしまう。」

と書かれている。(一部抜粋)

 自分も画像は残してはいないが、肉食蜂、カメムシ、蜘蛛に襲われている場面に何度か遭遇している。

 笹目川ウマノスズクサ近くの小さな群生がある場所に、自宅で産卵し2㎝以上育てた幼の一部を残し、小さな群生のウマノスズ 

 クサに託すつもりで放してくるのだが3.5㎝以上育つと見えなくなってしまう、数回同じことが続き、小さな群生場所で天敵に襲われた痕跡を探すのだが見つからず、

 近くには高速道路架橋、鉄道架橋、それぞれに沢山の野鳥の営巣があり、

 鳥たちが大きくなった幼虫をくわえ運び去ったと邪推している。

 県立奈良高校「人工肥料を用いたジャコウアゲハの飼育」に

 飼育下でわかったこと 「幼虫はアリストロキア酸を体内に蓄積し天敵から身を守るとされるが、鳥に捕食されることも多く、その効果は疑わしい」一部を出典

 

 2019  11/10植替え 2020 4/29 自生地の自主除草 

   

11月の移植を待つ昨年根差しした若芽。

 11月掘出した移植前の根株

天端の草刈、天端とコンクリ土留めの隅と金網枠下に馬の鈴草を移植。

ヨトウムシの食草あとの痕跡